【ラグビー】史上初の4連覇。帝京大にあって他チームにない「強み」とは

  • 松瀬学●取材・文 text by Matsuse Manabu 井田新輔●撮影 photo by Ida Shinsuke

国立大として初めて決勝に進んだ筑波大に勝利し、史上初となる4連覇を達成した帝京大国立大として初めて決勝に進んだ筑波大に勝利し、史上初となる4連覇を達成した帝京大 チームとは生き物である。史上初の4連覇を達成した帝京大を見ると、つくづくそう思う。個々が鍛練を積み重ね、チームとして大きく成長する。強力FWの破壊力プラス、たくましいバックスの展開力。フィジカルを土台とした「継続ラグビー」で筑波大を圧倒した。

 146人の部員がみな、笑う。いや主将の泉敬は泣いている。泣きながら笑っていた。4年生になって初めて定位置をつかんだ苦労人。103キロのフッカーが部員の手で宙に舞う。4連覇だから4度。

「最高でした。喜びというか、感謝の気持ちでいっぱいでした。146人の部員、監督、スタッフ......。帝京大ラグビー部が一丸となって過ごしてきた結果ですから」

 13日の大学選手権決勝(国立競技場)。試合前、こんなシーンがあった。スタンド裏のトラックでのウォームアップが終わる。選手がロッカー室に引き上げる際、約30人のメンバー外の4年生がブレザー姿で花道をつくった。「頼むぞ」と声が飛ぶ。中には泣きながら必死に拍手する4年生の姿も。

 試合後、泉がその光景を思い出す。人懐っこい顔がくしゃくしゃとなった。

「ほんとうに、こいつらの分まで戦ってくるぞといった気持ちになりました。低く、強く、激しく。もうタックルで相手をぶちのめす。ブレイクダウン(タックル後のボール争奪戦)で崩壊させるぞって」

 ひと言でいえば、フィジカルの勝利である。接点、ブレイクダウンで圧倒した。昨年12月1日の対抗戦で敗れた筑波大戦との一番の違いが、このブレイクダウンの精度と激しさだった。ひとり目がよくファイトし、ふたり目の寄りも速かった。

 さらに激しくレッグドライブ(足を動かす)をかける。圧力が強いから、筑波大はここに人を多く割かざるをえなくなった。

 戦い方も「継続ラグビー」に徹していた。実は1カ月前の筑波大戦から、勝ち続けてきたそれまでのスタイルを変えようとした。強力FWに頼るだけでなく、スキあらば大胆にボールをバックスに散らしていこう、と。

 岩出雅之監督が言う。

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