2013.01.03

【ラグビー】国立大初の決勝へ。筑波大快進撃の原動力とは?

  • 松瀬学●取材・文 text by Matsuse Manabu
  • 井田新輔●撮影 photo by Ida Shinsuke

東海大に勝利して国立大学として初の決勝進出を決めた筑波大 筑波大の進撃が止まらない。巨漢FWぞろいの東海大に土壇場で逆転勝ちし、国立大初の決勝進出を決めた。

 1月2日の国立競技場。ラスト7分。東海大に逆転トライを許した。だが、筑波大に焦りはなかった。主将のFB内田啓太が円陣で声をかけた。

「7分あれば、俺たちなら(トライを)取れるよ。何も慌てることはない。自分たちのやってきたことを出せれば、もう一回、ひっくり返せる」

 全員がやるべきことをやる。これが今季の筑波の強みである。まずは「キックチャージ」で意志統一がなされた。

 強風が吹き荒れる国立の空だった。そのトライ直後のキックオフ。風上の筑波大のSO片桐康策が思い切り敵陣深くに蹴り込む。このボールをFWが追いかけた。

 筑波大のチャージの鉄則。全員が行ってはいけない。相手に近い2、3人が責任を持ってしっかり行く。ボールをキャッチした東海大SOの阪本圭輔に一番近い位置にいたのが、途中出場の筑波大ロックの藤田幸一郎だった。一浪して入学した不器用な3年生。

「(阪本のキックの蹴り足が)自分の走る方向と同じだった。『届け~』という思いでした」

 ターゲットを定め、ダッシュする。184cm、94kgが長い両手をぐいと伸ばす。値千金のチャージとなった。

 転がるボールを、フランカーの粕谷俊輔が拾い、インゴール左隅に飛びこんだ。28-26の再逆転となった。

 試合後、殊勲の藤田はいかつい顔を何度もくしゃくしゃにした。ここぞというワンチャンスを生かすから、愛称が「ワンチャン・ゴリラ」。

 チャージの秘訣は?と聞けば、ボールが当たった左腕のひじをさすりながら「全然、ないです」と笑った。