【ラグビー】国立大初の決勝へ。筑波大快進撃の原動力とは?
東海大に勝利して国立大学として初の決勝進出を決めた筑波大 筑波大の進撃が止まらない。巨漢FWぞろいの東海大に土壇場で逆転勝ちし、国立大初の決勝進出を決めた。
1月2日の国立競技場。ラスト7分。東海大に逆転トライを許した。だが、筑波大に焦りはなかった。主将のFB内田啓太が円陣で声をかけた。
「7分あれば、俺たちなら(トライを)取れるよ。何も慌てることはない。自分たちのやってきたことを出せれば、もう一回、ひっくり返せる」
全員がやるべきことをやる。これが今季の筑波の強みである。まずは「キックチャージ」で意志統一がなされた。
強風が吹き荒れる国立の空だった。そのトライ直後のキックオフ。風上の筑波大のSO片桐康策が思い切り敵陣深くに蹴り込む。このボールをFWが追いかけた。
筑波大のチャージの鉄則。全員が行ってはいけない。相手に近い2、3人が責任を持ってしっかり行く。ボールをキャッチした東海大SOの阪本圭輔に一番近い位置にいたのが、途中出場の筑波大ロックの藤田幸一郎だった。一浪して入学した不器用な3年生。
「(阪本のキックの蹴り足が)自分の走る方向と同じだった。『届け~』という思いでした」
ターゲットを定め、ダッシュする。184cm、94kgが長い両手をぐいと伸ばす。値千金のチャージとなった。
転がるボールを、フランカーの粕谷俊輔が拾い、インゴール左隅に飛びこんだ。28-26の再逆転となった。
試合後、殊勲の藤田はいかつい顔を何度もくしゃくしゃにした。ここぞというワンチャンスを生かすから、愛称が「ワンチャン・ゴリラ」。
チャージの秘訣は?と聞けば、ボールが当たった左腕のひじをさすりながら「全然、ないです」と笑った。
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