【ラグビー】史上初の4連覇。
帝京大にあって他チームにない「強み」とは

  • 松瀬学●取材・文 text by Matsuse Manabu 井田新輔●撮影 photo by Ida Shinsuke

「(1カ月前の敗戦では)勝っているやり方を変える不安があったので、ちょっと中途半端さが出てしまった。激しさが足りなかった。でも負けると、バンと変わることができる。あの敗戦から(プランが)変わることに対する学生の拒否(反応)がなくなったのです」

 いいラグビーだった。ハンドリングミスはあったけれど、スピーディーに広く球が動く。赤いジャージの固まりの波状攻撃は迫力があった。相手のカウンターを避けるため、不用意なキックは封印した。

 勝負のポイントは、前半の中盤である。ゴール前のピンチ。ラインアウトからの相手のモール攻撃をつぶし、マイボールのスクラムとした。ここから右に回し、連続攻撃を仕掛ける。相手のディフェンスラインのギャップを突いて、SO中村亮土や両CTBが大幅ゲインする。19分。最後はラックから右に出し、中村が左中間に飛びこんだ。

 ゴールも決まって、15-3。これで流れが決まった。その後も15人一体の連続攻撃がつづく。アタックでは的を絞らせず、守ってはひたむきな堅実タックルを繰り返した。最後まであたりの激しさも運動量も落ちず、攻守で組織プレイが崩れなかった。

 39-22の圧勝だった。勝利の要因は?と聞かれ、エースの3年生SOの中村は言った。

「チームがひとつになっての勝利です」

 毎年、進化を続けてのV4である。岩出監督も4度、宙に舞った。

「喜びは学生の成長です。このチームはいちばん努力するチームでした。成長できたのは、苦しさを乗り越えてのV1があり、そこからV2、V3と一つひとつ積み重ねていったからです。勝ち続ける中で、胃袋がでかく強くなるように選手たちの吸収力が高まった。いろんな経験が積み重なってV4になったのではないでしょうか」

 帝京大の強みは?と問えば、54歳の名将は即答した。

「学生の誠実さでしょう」

 帝京大の強いフィジカルにしても、学生がまじめだからこそである。あのぶ厚い胸板、たくましい太ももは一朝一夕にはできない。体づくりは何より、「根気」が大事なのだ。食事でも、筋トレでも、効果を生むのは誠実であればこそなのだ。

 創部が1970年。高校教諭だった岩出は96年、帝京大の監督に就任する。チームの転機が就任2年目。部員の不祥事で1年間、公式戦を辞退した。

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