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女子フットサル代表・松本直美は「三足のわらじ」 狙うは「ワールドカップで優勝!」 (2ページ目)

  • 小宮良之●取材・文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

【「日本代表になるので料理人をやめます」】

 高校卒業と同時に、松本はサッカーの道から離れ、料理人になることにした。父が板前で、寿司職人だった。子どもの頃、誕生日などがあると、お寿司を握ってくれた。それがうれしかった。兄も同じ板前になった影響で、彼女も料理でチャレンジすることにしたのだ。

 1年間、料理の専門学校に通った。和洋中パティシエのなかからフレンチを選び、ホテルのレストランに就職した。

「最初は洗い物係で。次第にコース料理のアミューズ、盛り付けとか、仕込みをやるようになって。それから、バンケットという宴会用の大人数の料理も担当しました。カッティングが延々と続きましたね(笑)」

 彼女の心の中に、"サッカーに戻りたい"という衝動は起きなかったという。

 しかしある日、フットサルに呼ばれたときだった。

 何気なくボールを蹴り、仲間とわいわいする時間が無性に楽しく感じた。フットサル選手になる、というのは雲をつかむような話だったが、思い立つとホテルのレストランとは両立できなかった。仕事をやめることには、もちろん葛藤も覚えた。

「ホテルはまだ1年だったし、せっかく調理師免許もとったのに、って両親への申し訳なさと言うか......。でも、両親は『フットサルは今しかできない』って後押ししてくれて。あと、シェフがすごく怖くて(笑)、普通に『やめます』だとやめさせてくれないと思ったので、思い切って『日本代表選手になるんでやめます』って言ったら、『じゃあ、頑張ってこい』って」

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