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伊藤美誠が平野美宇と高速ラリー戦。
あえてライバルの土俵で打ち合った (3ページ目)

  • 栗田シメイ●取材・文 text by Kurita Shimei
  • photo by Kyodo News

「プレッシャーはないつもりでも、どこかで感じていて試合が少し恐かった」

 ワールドツアーで優勝、準優勝するなど結果は残していたが、自身のプレーに納得できていなかった。試合で緊張はしないと公言し、常に前向きで歯切れのいい言葉を口にする伊藤とは思えないコメントも、この時期に残している。

 そんな中で迎えた2018年の日本選手権は、当時17歳とは思えない伊藤の調整力と変貌が際立った大会だった。

 この年の全日本は出だしから好調だった。まずは森薗政崇とのペアで混合ダブルスを優勝。6試合すべてでストレート勝ちと他を寄せつけず、続く女子ダブルスでも早田ひなとのペアで2冠目を手にした。迎えたシングルス準決勝で相対したのは、日本女子のエースとして卓球界をけん引し、若手選手にとって大きな壁になっていた石川佳純だった。

 序盤は積極的にロングサーブを使う石川にペースを握られ、1ゲーム目を奪われた。石川は2ゲーム目もロングサーブを中心に攻めるが、徐々に慣れ始めた伊藤が奪い返す。3ゲーム目にはサーブをカウンターで返すなど、石川の戦術を破って2ゲームを連取する。

 4ゲーム目には伊藤の真骨頂でもある、試合中の調整力が顕著に現れた。ロングサービスにショートサーブを交え、攻め方を変えて攻勢に出た石川にリードされるが、終盤に8連続ポイントを奪い逆転勝ち。続く第5ゲームも制し、ゲームカウント4-1で石川をねじ伏せた。

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