13歳・張本智和こそ、水谷隼が
「中国を倒すには必要」と熱望した才能 (3ページ目)
張本と初めて戦う前夜、水谷はツイッターに「今日もきっと緊張して寝れないんだろうな...だって明日は張本だ」と書き込んだ。受け身にならざるをえないシチュエーションを予測した時点で、味わったことのない不安が胸に差し込んできたのかもしれない。
そしておそらく、張本が現時点で身につけているさまざまな技術とパワー、そして勝負度胸は、水谷の想定を大きく上回った。
リオ五輪を目前に控えた昨年6月、仙台から上京し、JOCエリートアカデミーに所属して間もない張本に話を聞いたことがある。卓球には実戦形式で打ち合う「オール」と呼ばれる練習があるが、インタビュー直前に初めて水谷とオールの練習をした張本は、そのときの印象をこう語った。
「大学生や社会人のナショナルチームの先輩たちとオールをやっても、ある程度はポイントを取れる展開に持ち込めるんですが、水谷さんだけは全然違うんです。台から離れてもミスはしないし、どうやったらポイントを奪えるのか、まったくわかりませんでした」
それからわずか1年後、張本はデュッセルドルフのコートで別人のように進化した姿を披露したのである。
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