男子バスケ日本代表は河村勇輝の不在の穴を痛感 盤石と思えたPGのポジションは一転して弱点に (2ページ目)
【攻撃は次第に手詰まりとなった】
日本はポゼッション──端的に言えば攻撃回数──をより多くすることで、得点をより増やすバスケットボールを目指している。だが、強化試合とアジアカップにおける日本は、攻撃のテンポが遅くなってしまっていることで苦戦を強いられていた。
後半に67得点と爆発したシリア戦でのポゼッション数(フィールドゴール試投数-オフェンスリバウンド+ターンオーバー数+(フリースロー試投数×0.44)で計算)こそ78ではあったものの、イラン戦とグアム戦ではそれぞれ74、75.8だった。6つの強化試合では1試合を除いて、いずれも75を下回っている。
昨年のパリ五輪で日本は全敗を喫したとはいえ、同大会で銀メダルを獲得した開催国・フランスをあわや倒すところまで追い詰めるなど、一定の成果を示すことができた。同大会での日本の平均ポゼッション数は77.5で、フランス戦に限れば82.2と、ペースを速めたことが大善戦の要因のひとつだった。
それは、日本の生命線である3Pに関わる数字にも現れている。グアム戦では50本もの3P試投数を記録したものの、イラン戦までの2試合で3Pの試投数は平均31.5本しかない。一方、パリ五輪では37.3本だった。これが示しているのは、ボールをすばやく前線に展開して相手の守備体制を崩すことで、シュートを打つ隙を創出できていないのではないかということ。
実際、試合を見ていても、攻撃が手詰まりになっていることが多いと感じる。日本のプレースタイルは、ボール保持者がリングに向かってペイント内へ侵入する「ペイントアタック」や、その動きによって相手守備を引きつけて3Pシュートの機会を作ることが土台となっている。
だが、アジアカップを見ているとペイントアタックの回数は少なく、そのうちに24秒計の時間が少なくなってしまい、最後はジョシュ・ホーキンソン(サンロッカーズ渋谷)などのスクリーンから2対2のシュートへ移行する場面が目立つ。これでは相手に動きを読まれてしまうので、うまく機能していない印象だ。
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