男子バスケ日本代表は河村勇輝の不在の穴を痛感 盤石と思えたPGのポジションは一転して弱点に (3ページ目)
【富樫勇樹も波に乗れずに沈黙】
ホ―バスHCは強化試合からすべての試合で、テーブス海(アルバルク東京)を先発PGとして起用している。身長188cmのテーブスは172cmの河村や167cmの富樫勇樹(千葉ジェッツ)よりも体躯があり、それを生かしてのペイントアタックをするPGだ。しかし、中へ切り込んで行く際に自ら得点するのか、それともパスを通すのか、迷っている様子も見受けられる。
イラン戦の後半、テーブスがハンドリングミスから相手にボールを奪われ、富永が慌ててファウルで止める場面があった。この試合では明らかに富永が一番の得点源だったが、試合終盤に5つ目のファウルをしたことで痛恨の退場となってしまった。こうしたことも影響してか、テーブスの出場時間は初戦から10分近く減らし、終盤の勝負どころでは富樫がコートに立った。
その富樫にしても、22分弱の出場時間を得たとはいえ、決して出来がよかったわけではない。強化試合には出場せずアジアカップ直前の招集となり、試合勘が鈍ってこともあったかもしれない。
だが、パスミスやハンドリングミスでボールを失い、得意の3Pも1度として決められないなど精彩を欠いた。富樫は試合後の取材に対し、「個人的にもまったく波に乗れず、チームとしてのリズムのなかでプレーをさせることができなかったので、すごく反省点が多い試合だった」と表情を固くしていた。
直前までアジアカップ出場の可能性を残していた河村だったが、おそらく2ウェイ契約を交わしたブルズでの定着を目指してトレーニングに集中するためだろう、今夏の代表参加を断念した。河村がサウジアラビア行きの航空機に搭乗しなかったことで、日本代表の司令塔が盤石なポジションではないことが顕在化した。
もちろん、PGがボールを保持している時に起きたエラーのすべてがPGの責任かといえば、そうではないだろう。テーブスが中へ切れ込んで手詰まりとなってしまった時、周りがパスの供給先となるべく守備の隙をついて動くなどすれば、エラーも起きにくくなるとも言える。
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