NBAでプレー&指導実績 バスケ女子日本代表ゲインズHCが目指す「オーガナイズド・カオス」とは (5ページ目)
【評価されるのは後世】
── なるほど。
「セットプレーの際、『スクリーンを右サイドにかけて、スクリーナーがそこから中へ切り込む』というパターンがいつも同じだと、相手に読まれてしまいます。スクリーナーが中へ切り込んだり、外に広がることが必要なのです。わかりやすくするための簡単な説明ではありますが、こうしたものがカオスというもので、相手にとって予測が立ちにくくなります。
普通でないことが普通となり、普通なことが普通でなくなると言いますか......。ピカソやゴッホといった著名な芸術家たちも、彼らが発表したものはその時点ですぐに評価をされたのではなく、当時は『普通ではない』と見られていました。評価されるのは、後世になってからです」
(つづく)
◆コーリー・ゲインズHC後編>>「いいコミュニケーター」であるためにすべきこと
【profile】
コーリー・ゲインズ
1965年6月1日生まれ、アメリカ合衆国・ロサンゼルス出身。ロヨラ・メリーマウント大からNBAドラフト3巡目・全体65位でシアトル・スーパーソニックスに指名される。ニュージャージー・ネッツ、フィラデルフィア・76ers、デンバー・ナゲッツ、ニューヨーク・ニックスの4チームに在籍し、晩年には日本リーグのジャパンエナジーでもプレー。引退後は指導者となり、2009年にはWNBAフェニックス・マーキュリーをリーグ優勝に導く。2022年から男子日本代表のアソシエイトHCを務め、2025年3月より女子日本代表HCに就任する。現役時代のポジション=シューティングガード。
著者プロフィール
永塚和志 (ながつか・かずし)
スポーツライター。前英字紙ジャパンタイムズスポーツ記者。
Bリーグ、男女日本代表を主にカバーし、2006年世界選手権、 2019W杯等国際大会、また米NCAAトーナメントも取材。 他競技ではWBCやNFLスーパーボウル等の国際大会の取材経験 もある。著書に「''近代フットボールの父'' チャック・ミルズが紡いだ糸」(ベースボール・マガジン社) があり、東京五輪で日本女子バスケ代表を銀メダルに導いたトム・ ホーバスHC著「ウイニングメンタリティー コーチングとは信じること」、川崎ブレイブサンダース・ 篠山竜青選手 著「日々、努力。」(ともにベースボール・マガジン社) 等の取材構成にも関わっている。
【写真】NBAウォリアーズ・ダンスチーム 宮野茉莉さん 高橋南保子さん フォトギャラリー
5 / 5