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NBAでプレー&指導実績 バスケ女子日本代表ゲインズHCが目指す「オーガナイズド・カオス」とは (3ページ目)

  • 永塚和志●取材・文 text by Kaz Nagatsuka

【ホーバスHCとの共通項はひとつ】

── ホーバスHCが厳しい指導者ということはファンも知っていますし、時に選手を叱りつけることもあります。ゲインズHCも選手に対して、そのように接することはありますか?

「選手たちとの関わる時にコーチとしてなすべきことは、『自分自身である』ことです。自分を取り繕(つくろ)いながら接してはダメなのです。

 仮に私がコートで選手を叱り始めたとしたら、ほかの選手たちは『何が起こっているんだ?』となるでしょう。でも、その叱っている選手に私が『本音』で伝えているとしたら、ほかの選手もその言葉を理解しようとしてくれるでしょう。

 動物で例えましょう。犬は人間に対して、その人が犬を好きかどうか見抜きます。たとえ犬がその人と初対面だったとしても。それは選手たちにも同じことが言えます。コーチが本音を語っているのかどうか、彼らは感じ取るはずなのです。

 そのコーチがもし思ってもいないことを選手に語り出せば、彼らはそれを見抜き、関係性は崩れてしまうでしょう。私はそういうことをしません。何も自分を取り繕う必要がないと思っているので」

── では、ゲインズHCも大声で選手を叱りつけることがあるかもしれませんね。

「そういうこともあるかもしれません。ですが、どのコーチにも、その人のやり方があります。私がNBAで指導を受け、また一緒に指導をしてきたドウェイン・ケイシー(2018年トロント・ラプターズ時代にNBA最優秀コーチ賞受賞)やバーニー・ビッカースタッフ(元デンバー・ナゲッツ等HC)、そしてフィル・ジャクソン(HCとしてシカゴ・ブルズとレイカーズで計11度のNBA王座獲得)もウェストヘッドもジョージ・カール(NBAオールスターゲームHCを4度歴任)も、誰ひとりとして同じではないのです。それは、私とホーバスHCが違うコーチであることも同様です。私がホーバスHCになることはできません。

 ただし、彼との共通項がひとつあるとしたら、『日本のバスケットボールを世界に知らしめたい』ということです。どうやってそれを成し遂げるかは、彼と私ではやり方は違うでしょう。ですが、それは嘘偽りなき目標です」

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