NBA伝説の名選手:シャキール・オニール 支配的な存在感とユーモアセンスで人々を魅了した歴代屈指の重量級センター (3ページ目)
【愛されたキャラクターは解説者としても健在】
シャックはレギュラーシーズン通算1207試合に出場し、キャリア平均23.7得点、10.9リバウンド、2.3ブロックをマーク。ジョーダンに次ぐNBA史上2人目の3年連続ファイナルMVPというすばらしい実績も残した。
公称216cm・147kgという驚異的なサイズと圧倒的なパワーを持ち、全盛時には巨体に似つかわしくないほどのクイックネスも兼備した男は、フィールドゴール成功率でチェンバレンの9度を上回り、歴代最多の10度もリーグトップに立った。さらに、3つの球団(マジック、レイカーズ、ヒート)で永久欠番になるという、チェンバレン続くNBA史上2人目の快挙も達成している。
食事制限などで何度か減量したことがあるとはいえ、シャックは一度に「ビッグマック6個とフライドポテト、チキンナゲット20個とダイエットペプシ」を平らげてきたほどの大食漢で、現役時代の"リアルな体重"も脅威そのものだった。
「最初に優勝した時が345(ポンド/約156kg)で、2度目の優勝時が385(ポンド/約174kg)。最後に王座を獲得した時(2002年優勝時)が415(ポンド/約187kg)だったな」
通算フリースロー成功率こそ52.7%だったものの、これだけの重量級センターがインサイドで陣取り、機敏に動いてリングへ襲い掛かってきたのだから、相手からすれば止めようがなかったと言えるだろう。
そして忘れてはならないのが、そのユーモア性だ。メディアやファン、選手たちをも喜ばせる発言で注目を集めてきた男は、オールスターでキレのあるダンスを披露し、"ラジコンシューズ"や"シャックフォン"(巨大なシューズ型の携帯電話)でも楽しませ、みんなから愛される"憎めない男"としてのキャラクターを確立した。
引退後はケーブルTV局『TNT』でチャールズ・バークリー(元サンズほか)らとのスタジオトークで視聴者を楽しませていて、自身のポッドキャスト番組や他メディアへの出演を通じて充実した日々を過ごしている。
NBAは来シーズンから新たな放映権の契約を結んだことで、『TNT』は今シーズン終了後に撤退。今年2月16日(日本時間17日)に開催される「NBAオールスターゲーム2025」に向けて、シャックはGM(ゼネラルマネージャー)のひとりとなって6日(同7日)のドラフトで選手たちを指名して"チーム・シャック"を作り上げた。
今年のオールスターは、シャックにとって『TNT』時代の集大成とも言えるイベントだけに必見だ。そして持ち前の巨体とファンやメディアを操る巧みな話術の持ち主が、今後どのメディアを拠点に活動していくのかにも、注目していきたい。
【Profile】シャキール・オニール(Shaquille O'Neal)/1972年3月6日生まれ、アメリア・ニュージャージー州出身。1992年NBAドラフト1巡目1位。
●NBA所属歴:オーランド・マジック(1992-93〜1995-96)―ロサンゼルス・レイカーズ(1996-97〜2003-04)―マイアミ・ヒート(2004-05〜2007-08途)―フェニックス・サンズ(2007-08途〜2008-09)――クリーブランド・キャバリアーズ(2009-10)―ボストン・セルティックス(2010-11)
●NBA王座4回(2000〜02、2006)/シーズンMVP1回(2011)/オールNBAファーストチーム8回(1998、2000〜06)/ファイナルMVP3回(2000〜02)/新人王(1993)/オールスターMVP3回(2000、04、09)
●主なスタッツリーダー:得点王2回(1995、2000)/フィールドゴール成功率王10回(1994、1998〜2002、2004〜06、2009)
*所属歴以外のシーズン表記は後年(1979-80=1980)
著者プロフィール
秋山裕之 (あきやま・ひろゆき)
フリーランスライター。東京都出身。NBA好きが高じて飲食業界から出版業界へ転職。その後バスケットボール雑誌の編集を経てフリーランスに転身し、現在は主にNBAのライターとして『バスケットボールキング』、『THE DIGEST』、『ダンクシュート』、『月刊バスケットボール』などへ寄稿している。
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