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前代未聞の挑戦! たった5人でウインターカップに挑んだ和歌山南陵バスケ部の軌跡 (2ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro

 2024年夏には近畿大会ベスト4に進出し、インターハイでも1勝を挙げている。チームの大黒柱は身長205センチの留学生、アリュー・イドリス・アブバカだ。ナイジェリアからの来日当初は技術が拙く、「使い物にならなかった」(和中ヘッドコーチ)というが、真面目な性格で急成長。日本語を積極的に覚え、チームメイトとのコミュニケーションを深めるなかで信頼を勝ち取っていった。

 ほかにも主将を務める二宮有志や、藤山凌成、紺野翔太と3人のシューターが外から居抜き、アブバカの負担を減らしていた。

【ウインターカップ直前にまさかの事態】

 冬場には4年連続4回目となるウインターカップの出場権を獲得。そんな大一番を控えた和歌山南陵に再び激震が走る。

 当初は日本国内の大学に進学予定だったアブバカが、突如アメリカに行きたいと希望。新たな進路先を模索するため、日本を離れることになったのだ。当初はウインターカップまでに日本に戻ってくる予定だったが、大会直前になってアブバカから和中のもとに「帰国できない」という連絡が入った。

「イディ(アブバカの愛称)が戻ってこられないと知って、マジで毎日泣いていました」

 そう証言するのは、酒井珀だ。身長178センチとチーム内で比較的身長が高い酒井だが、アブバカの抜けた穴は想像以上に大きく感じたという。

「インサイドでの接触プレーが多くなって、太ももを痛めてしまいました。僕はイディみたいに身長もないし、体もでかくありません。彼とは違うプレースタイルでやっていくしかない、と取り組んできました」

 なお、酒井の母・恵は和歌山南陵の惨状を見かねて、独自にクラウドファンディングを立ち上げた。バスケ部のことが広く報道されたこともあって、目標金額50万円を大幅に上回る763万4000円の支援金を集め、バスケ部の運営に活用されている。

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