「雄太さん、まだ引退させませんよ」河村勇輝が3P連発でフィンランド粉砕「この男がコートに立てば何かが起こる」 (4ページ目)

  • 永塚和志●取材・文 text by Kaz Nagatsuka
  • photo by AFLO

【試合後に河村が渡邊雄太に話しかけた言葉】

 富永はこう話した。

「ふたりともまだ経験はないですが、そんななかで若いエネルギーとプレーでチームを勝利に導けたことがすごくうれしかったです。これが自分たちのバスケット人生において、ものすごく成長のできる1試合になったのではないかなと思います」

 一方のホ―バスHCは、ふたりの伸びしろについてこう述べている。

「このふたりのポテンシャル、天井はすごく高い。このレベルでは簡単にはいかないんです。相手は大きいし、早いし、強い。でも、ドイツ戦での経験もあってすごくよかった。(事前の強化試合の)スロベニア戦やフランス戦も経験になった。だから僕は、すごく待っていましたよ。我慢していたんです。河村と富永がいつ爆発するかなと思って」

 これでグループステージを1勝1敗とした日本。8月29日には2次ラウンド進出をかけて、オーストラリアとの試合が控える。

 東京オリンピックの銅メダリストで世界ランク3位との対戦は無論、難しいものとなるだろう。オーストラリアは27日にドイツに敗れており、日本との試合では本気でかかってくる。

 日本の今大会最大の目標は、アジア勢で1位となって来夏のパリオリンピックへの切符を獲得することだ。

「フィンランドを相手にできたことは、自信を持っていいと思います。ただ、自分たちの目標はアジア1位なので、フィンランドに勝つことを目標にやっているわけではないし、1勝してその後、全敗してアジア1位じゃなかったとなると意味がない」

 河村は、フィンランドからの勝利にはしゃぎすぎることはなく、次へ向けてしっかりと前を見据えながらそう話した。

 ドイツとフィンランドとの試合を経て、また大きくなった富永と河村。オーストラリアを倒すには、ふたりの力が必要となってくるだろう。

 河村はフィンランド戦後、日本代表をパリオリンピックに連れて行くことができなければ代表を引退すると明言している渡邊にこう話しかけたという。

「雄太さん、まだ引退させませんよ」

 河村と富永という、次の日本を背負っていくことになるふたりが、ここからさらにどんな驚きをもたらしてくれるのか、楽しみだ。

プロフィール

  • 永塚和志

    永塚和志 (ながつか・かずし)

    スポーツライター。前英字紙ジャパンタイムズスポーツ記者。Bリーグ、男女日本代表を主にカバーし、2006年世界選手権、2019W杯等国際大会、また米NCAAトーナメントも取材。他競技ではWBCやNFLスーパーボウル等の国際大会の取材経験もある。著書に「''近代フットボールの父'' チャック・ミルズが紡いだ糸」(ベースボール・マガジン社)があり、東京五輪で日本女子バスケ代表を銀メダルに導いたトム・ホーバスHC著「ウイニングメンタリティー コーチングとは信じること」、川崎ブレイブサンダース・篠山竜青選手 著「日々、努力。」(ともにベースボール・マガジン社)等の取材構成にも関わっている。

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