「雄太さん、まだ引退させませんよ」河村勇輝が3P連発でフィンランド粉砕「この男がコートに立てば何かが起こる」 (3ページ目)

  • 永塚和志●取材・文 text by Kaz Nagatsuka
  • photo by AFLO

【河村のドリブルでフィンランドは規律を失った】

 富永が振り返る。

「今日はオフェンスというよりも、まずはディフェンスから入るということを意識していて、ディフェンスでチームに勢いを与えられたというのはよかったですし、いつも以上にディフェンスにフォーカスしました」

 河村の場合は、ドイツ戦で出せなかった「ペイントアタック」をすることだった。

 昨シーズン大躍進してBリーグのシーズンMVPに輝いた男は、ドイツ戦では1対1からボールを持ちすぎ、パスが回らないことでより難しいシュートを打ってしまったと話した。その反省から、フィンランド戦では鋭く・力強いドライブインでコートを切り裂きながら、相手ディフェンスのバランスを崩した。

 日本代表に「この男がコートに立てば何かが起こる」という存在がいるとすれば、その筆頭は河村だ。彼がリングへ向かってドリブルをすれば、相手のディフェンスは規律を失うからだ。

「ペイントアタックこそが自分の役割」とする河村もそこを理解していて、フィンランド戦後にはこう述べている。

「ペイントアタックをしてアシストを供給することや、ペイントアタックをしてそこでズレ(シュートチャンス)が作れなくてもボールをリングのほうに押し込むだけで、全然ボールやオフェンスの流れが変わってきます」

 富永と河村の3Pが入り始めるとペイントエリアが空き、それによってドライブインが決まりやすくなったと、ホ―バスHCも話した。

 スポーツに限らず多くの世界で、若者にとって経験や悔しさは成長の糧となる。昨夏にA代表入りしたふたりの英俊にとって、悔しさを味わったドイツ戦も、フィンランド戦での爆発につなげるそれとなった。

 ただ日本の調子がよかった、勝った、というだけでは言い足りない試合だった。というのも、これまでこのチームを支えてきた富樫勇樹(PG/千葉ジェッツ)、渡邊、馬場がそれぞれ無得点、2得点、5得点と大きく活躍したわけではないにもかかわらず、ワールドカップという大舞台でヨーロッパの国を相手に白星を挙げたからだ。

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