「雄太さん、まだ引退させませんよ」河村勇輝が3P連発でフィンランド粉砕「この男がコートに立てば何かが起こる」 (2ページ目)

  • 永塚和志●取材・文 text by Kaz Nagatsuka
  • photo by AFLO

【最大18点差から驚異の追い上げで大逆転】

 そしてここからは、河村がバトンを引き継いだかのように躍動する。

 力強いドライブインレイアップや4本の3P、またジョシュ・ホーキンソン(C・PF/サンロッカーズ渋谷)に対しての連続アシストパスを成功させて逆転を演出。フィンランドはラウリ・マルカネン(PF/ユタ・ジャズ)を河村に当ててくるも、172cmの小兵は40cm以上も身長の高いNBA選手の上から3Pをねじ込んだ。

 富永と河村は後半、それぞれ11得点、21得点を挙げた。高校時代からウィンターカップ(全国高等学校バスケットボール選手権)で対戦し、U16やU18日本代表でもチームメイトとして国際舞台を経験してきた盟友ふたりは、試合後のコート上で互いの姿を認めると、抱き合って喜んだ。

「本当に大きな勝利だったと思います。僕らは18点差をつけられても、決してあきらめませんでした。自分たちにはできると思っていましたし、仲間を信じていました」

 試合後の記者会見。富永は英語でそのように試合を振り返った。

 3Pを重視するホーバスHCのチームで、富永はオフェンスの主力になるだろうと考えられていた。だが、ディフェンスに課題があることもあってドイツ戦では出番が少なく、3Pもわずか1本成功と5得点に終わった。

 河村にしても、ドイツ戦では相手の圧力の前に4つのターンオーバーを出してしまうなど、精彩を欠いたプレーに終始していた。

 そうしたこともあって、ふたりはこのフィンランド戦のなかで、明確な「意図」と「意思」を持ってコートに立った。

 富永の場合は「3Pを打つ」ということが最大の役割ではあるものの、この日はディフェンスにおいても相手の突進などを恐れず、フィジカルなプレーでも魅せた。

 富永は3つのスティールを記録したが、とりわけ第4クォーター序盤のものは、スティールからの速攻をしようとしたところに相手からのアンスポーツマンライクファウルを誘発し、それまででもすでに日本の後押しする声援であふれていたアリーナ内をより一層、熱くした。

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