井上雄彦×渡邊雄太スペシャル対談01「やっと自分がNBA選手になれた気がしました」 (3ページ目)

  • 伊藤 亮●取材・文 text by Ito Ryo
  • 細野晋司●撮影 photo by Hosono Shinji

井上 では、まだ自信を獲得する前のラプターズ時代、その前のグリズリーズ時代。1秒も出場しない試合もあったわけで。その時はどういうふうなメンタルの持ちようで乗り越えてきたの?

渡邊 グリズリーズの時も冷静で、Gリーグで活躍できたものの、NBAのコートではまだ何も結果を出せていない状態だったので、コートに立てないのは単純に実力不足だから当たり前、くらいに考えていました。

 その後、ラプターズで試合に出だして、ローテーションに入るか入らないかくらいの時期が正直大変で。自分でも考えることがいろいろとあったのですが。

井上 苦しい時を乗り越えるための方法って、具体的に何かある? 誰かに相談するとか。

渡邊 僕は人に弱音をあまり吐かないんです。親に対しても絶対に弱音を吐いたりしませんし。でも唯一、吐き出せる大親友がいまして。現在は延岡学園でコーチをしている高校時代の同級生なんですけど。

 彼に対してだけ「正直、今、すごいしんどいんだ」ということを打ち明けていました。彼とはすごくいい関係性を築いていて、彼からもしんどい時は話を打ち明けてくれますし、お互いを常に引っ張り合っていけています。

【努力し続けることができる特別さ】

 いわずと知れたバスケットボール世界最高峰の舞台・NBA。世界中のプレーヤーがこの舞台での活躍を夢見て挑戦してくる。その競争レベルは一瞬たりとも気が抜けない過酷なものだ。

 そのNBAで5シーズンを戦い、さらに6シーズン目以降を見据える渡邊選手。日本人にとってはこれまで絵空事にすぎなかったほど遠い世界だったNBAで、しかもチームの中心選手として戦い続けていられるのはなぜなのか。井上氏の興味もその点にあった。

渡邊 NBAには毎年60人がドラフトで入ってきます。2巡目の選手にはNBAで生き残れるか、残れないかという話がありますが、(1巡目の)30人はまず確実に入ってくる。さらにドラフト外からの入団もあったりするなかで、とんでもない能力の選手を何人も見てきました。

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