田臥勇太41歳。宇都宮ブレックスで迎える15シーズン目も「バスケットへの情熱は、むしろ増しているように感じる」 (3ページ目)

  • 三上太●取材・文 text by Mikami Futoshi
  • photo by ©B.LEAGUE

――人生の半分以上でバスケットを続けてらっしゃいますけど、田臥選手が思い描く最高のバスケット人生ってどんなものですか?

田臥 いや、思い描いてないからやっていられるんじゃないですかね。全然思い描いていないです。終わる時が来たらその時に「こういう時が終わる時なんだな」と、きっと思うのかな。

――先を見るのではなく、常に目の前、たとえば今シーズンとか、極端に言えば、今日の練習を考えていると。

田臥 そうですね。その積み重ねのなかで見えてくるものがあるのかなと思ってやるタイプなんです。最高のバスケット人生は......終わった時に「バスケット選手でよかった」って思えるのが一番だと思います。バスケットができていることが一番幸せなので。

――これから新しいシーズンを始めようという選手に失礼かもしれないですが、年齢を重ねてきて、40歳というひとつの大台を超えたら、周りからは当然「引退」という言葉もちらほら聞こえてくるのではありませんか?

田臥 ちらほらどころじゃないですよ(笑)。

――そうなんですか?

田臥 40歳を過ぎると特にそうなんですけど、そういうことを言われるのも当然なんだなと思いました。そりゃそうだよな、という感じです。

――それに抗うのではなく、「引退」という言葉を受け入れつつ、でも俺は続けるんだと。

田臥 僕が若い頃に40歳の先輩選手がいたら「まだやってるんだ」って普通に思っていたと思うんです。そう思うことが当然だし、実際に同級生や、年齢の上下に関係なく、引退する選手もいます。次を目指していくのもありだと思うし、いろんな選手にいろんな選択肢があることは、年を重ねるごとに「そういうものなんだな」って思えるようになりますね。

――かつてトヨタ自動車(現・アルバルク東京)でも一緒にプレーした折茂武彦さん(レバンガ北海道代表)は49歳までプレーしました。

田臥 折茂さんの背中をずっと見てきて、1年でも長くというか、少しでも折茂さんに近づけるように頑張りたいなって思わせてもらえました。折茂さんがいてくれたことで、そういう目標をセットできることは本当にありがたい存在です。

――田臥選手は体のケアもしっかりされてきたし、体力的にも、精神的にも引退を考える時期ではないわけですね。

田臥 本当に余計なことを難しく考える暇もないぐらい、日々のメンテナンスを一生懸命やらなきゃなっていう感じなんで(笑)。さっきも言いましたけど、僕はバスケットをしている時が、本当に幸せなので。

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