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男子バスケ篠山竜青、五輪代表落選の気持ち。その後すぐにテレビ解説を引き受けた理由 (4ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by アフロスポーツ

 9月末、新シーズンがスタートするが、篠山はあるテーマを自分に課している。

「今年は、とにかくたくさん練習をしようというのをテーマにしています。午前中は全体練習ですが、午後は個人のワークアウトでうちの若手はけっこう遅くまでいるんですよ。それに負けないように体育館にいて、ゆるぎない自信がつくぐらいの練習量を自分に課していこうと思っています」

 PGとして、結果(数字)についても実現したいものがある。

「今シーズンは、3ポイントの試投率ですね。昨年まではPGとして確率よく決めないといけないと思って、シュートが決まらない時やリズムが悪い時はやめておこうという気持ちになったんですが、東京五輪の女子を見て感じたこともありましたし、自分が決めれば川崎の勝率にもつながると思うので、積極的に打っていこうと思っています」

 ちなみに昨年シーズンの篠山の3ポイント成功率はリーグ戦、33.7%だった。成功率トップは狩野祐介(名古屋ダイヤモンドドルフィンズ)の47.5%で、40%超えている選手は6名しかいない。今シーズン、篠山がどこまで高められるか注目だ。

 チームでは、2014年シーズンからキャプテンを続けている。今年は、まだチームから正式にリリースされていないが、7年間、キャプテンを続けていること自体、篠山のプレーヤーとしての力だけではなく、人間性が高く評価されていることの証明でもあろう。

「キャプテンを長くしていますが、うちのチームの選手は、みんな自立した大人ですし、高いモチベーションを持ってバスケをしているので、やる気のない奴をひっぱたいてみたいな(笑)、そういうのはないです。ただ、負けが続いてくると、誰かの責任や審判のせいにしたりするので、そういう時には方向性をひとつにするように、みんなに問い正し、コントロールします。あまり厳しいことは言いたくないですけど、プロとして果たす責任があるので覚悟を持ってやりますが、かなりエナジーを使いますね(苦笑)」

 チームには外国籍の選手もいるが、日本人と対応が変わることはない。川崎の外国籍選手は、篠山曰く「ナイスガイが多い」ということなので、キャプテンの言葉をよく聞いてくれるという。

 最高の仲間とシーズンを戦うことになるが、今年のチームの目標は明確だ。

「3冠です」

 篠山は、力強い声で、そう言った。

「天皇杯は昨年に続いて連覇したいですね。次は、地区優勝です。昨季は地区3位に終わったんですが、チャンピオンシップに臨む際、セミファイナルはアウェーでのゲームになったんです。そこで負けたんですが、個人的にはそれがけっこう大きかった。自分たちのコートでチャンピオンシップを戦うためには地区優勝をしないといけないですし、そうしないとBリーグ制覇も難しいと思っています」

 篠山の言葉で意外に感じたのは、アウェーに言及したことだ。欧州では、ホーム&アウェーが感じられるが、日本ではバスケットボールもラグビーもそこまでアウェー感を感じずにプレーができる。篠山は、セミファイナルで宇都宮に敗れたことの要因としてアウェーをあげていたが、日本のコートはホームアドバンテージを得られるぐらいファンの後押しが大きいのだろうか。

「ちょっと前までは、ホームもアウェーもそんなに差がなかったんです。でも、リーグ自体が盛り上がり、アウェーに行くとホームチームとの一体感、声援がすごくて年々戦いづらくなっています」

 川崎は、昨年、コロナ禍でありながらも観客動員数はリーグトップだった。それゆえにホームで試合ができれば篠山たちは、有利に戦えるということになる。

「だからこそ、今シーズンは、という思いです。昨シーズンもセミファイナルをホームでやれていれば結果が変わったかもしれないですからね。川崎のファンは、僕らがファミリーと呼んでいるんですけど、一体感がある。とどろきアリーナが200人ぐらいの時から支えてくれているので、なんとかファンのために3冠達成したいですね」

 チームとしての目標は明確になった。

 一方、プレーヤ―篠山個人としての目標は、東京五輪を終えて、大きく変わった。

「僕が東京五輪に出場していたら、『あとは若い選手に任せて』と考えていたと思うんです。でも、代表から落選して、今はこのままじゃ終われない。代表でプレーしたい。そう思っている自分に、自分で驚いているんですけど、もう1回代表に戻ってプレーしたいですね」

 パリ五輪は、3年後、あっという間にやってくる。

「そうなんですよ。だから、アピールしていければいけると思っています」

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毎週日曜日 15:30〜16:00

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ケガや挫折、さまざまな苦難をものともせず挑戦を続け、夢を追い続けるスポーツヒーローの姿を通じて、リスナーの皆さんに元気と勇気をお届けします。

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