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男子バスケ篠山竜青、五輪代表落選の気持ち。その後すぐにテレビ解説を引き受けた理由 (2ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by アフロスポーツ

 2017年、ラマス体制で日本代表の活動をスタートした時から篠山はキャプテンとしてチームをまとめてきた。これまでチームのために尽力してきた自負はあったが、チームにいればなんとなく空気で察することができる。篠山は、ある程度の覚悟はできていたと言う。

「落選理由としては、サイズが小さいふたり(富樫勇樹と篠山)をPGとして残しておくことはできないみたいな感じでした。でも、自分の中では、ひょっとすると生き残れないかもしれないというのは薄々感じていました。五輪前のレギュラーシーズンやアジアカップでどれだけアピールできたのかと言うと結果を出せていなかった。五輪に出るだけの力が足りなかったんだと思います」

 宣告をされた後、キャプテンという立場からチームを動揺させてはいけないと思い、自分の感情を律して悔しさを封じ込めた。だが、川崎に戻り、練習をしていると徐々に悔しさが増していった。さらに世間が五輪モードになっていくにつれ、「自分はあの舞台に立てないんだ」という現実が篠山の感情を震わせた。

「落選後、五輪のニュースや番組をテレビで見る機会が増えていったんですけど、そうなると悔しさがすごく大きくなって......。しばらくテレビを見たり、聞いたりすることができなくて、思わずチャンネルを変えたり、テレビを消したり、そんなことを気づいたらやっている自分がいました」

 篠山は、東京五輪から一時的に目を背けたが、バスケットボールからは逃げなかった。

 7月7日、強化試合となるハンガリー戦のテレビ解説を篠山は引き受けたのだ。代表から漏れた選手がすぐにチームの試合の解説をするのは、あまり聞いたことがない。

「僕の一番のモチベーションはバスケを通して、クラブや自分の価値を高めていくことなんです。代表に落ちたから篠山竜青の価値を高められないとは思わないので、メディアとか出演依頼があれば引き受けたいとクラブには伝えていました。たしかに普通、代表候補選手が落選してすぐにテレビで解説するのは異例ですが、僕自身は悔しさを抱えながらの解説になったので、自分のためにもなると思って引き受けたんです」

 7日のハンガリー戦は勝利し、9日のベルギー戦は惜敗したが、チームは強くなっていると篠山は感じた。

 キャプテンは渡邊雄太が引き継ぎ、ラマス監督と英語でコミュニケーションを取りながらリーダーシップを発揮していた。ワールドカップでは、ふたりでキャプテンの責務を果たしたことがあったが、東京五輪でもその役割を果たしてくれるだろうと篠山は安心して見ていたと言う。

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