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渡邊雄太が両親の前で涙の最多得点。
大学最後のホームゲームで壁を超えた (5ページ目)

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by ZUMA Press/AFLO

「この体育館で僕がプレーしているところを、親に見てもらいたいという思いが常にありました。試合前の入場では親と一緒にコートを歩き、写真を撮ったりしたいと思っていたんです。今日の試合は満足してくれたんじゃないかな」

 ひとしきり泣いた渡邊は、ゲームを終えると家族思いの青年に戻り、会見では晴れやかな笑顔でそう述べた。誇らしげな両親とともにアリーナを去っていった姿を、つい先日のことのように思い出す。

 このホーム最終戦から約8カ月後の2018年10月27日。メンフィス・グリズリーズの一員になった渡邊はフェニックス・サンズ戦に出場し、2003年の田臥勇太以来、日本人選手として14年ぶりにNBAのコートに立った。

 NBAでのさらなる苦闘と、成長の過程はまた別の物語である。しかし、幼虫がサナギになるために必要だったジョージ・ワシントン大学での4年間は、渡邊の中で眩い輝きを放っているはずだ。そして、"シニアナイト"で浴びた最後の喝采と、万感の涙は、バスケットボールキャリアの大事な通過点として記憶され続けるに違いない。

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