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渡邊雄太が両親の前で涙の最多得点。
大学最後のホームゲームで壁を超えた (3ページ目)

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by ZUMA Press/AFLO

 カレッジ時代の渡邊は、この日のように攻め気を前面に出し続けたわけではない。視野の広さを生かしたプレーが渡邊の長所であり、だからこそ常にチームメイトから愛される存在だったのだろう。

 ただ、その献身さに物足りなさを感じることもあった。特に4年時はチームのベストプレーヤーだったため、「もっと強引に攻めてもいいのでは」と感じたことも1度や2度ではない。そんな渡邊が、卒業目前の"シニアナイト"で果敢なアタックを繰り返したのだ。

 最上級生として迎えた2017-18シーズンは、渡邊にとって簡単なシーズンではなかった。個人の実力は攻守両面でハイレベルだったが、リーダーシップの確立に苦心した。熱い姿勢と闘志が同僚たちに響かなかった時期があり、その影響もあって、このシーズンのジョージ・ワシントン大学は15勝18敗(アトランティック10カンファレンス14チーム中10位)という成績に終わっている。

 中でも2018年2月3日、ステフィン・カリー(ゴールデンステート・ウォリアーズ)の母校であるデビッドソン大学と対戦した際の"怒りの涙"は象徴的だった。

 覇気に欠けたチームは、地元で29点差をつけられての大敗。その試合後、渡邊は「小学生レベルでもやってはいけないミスが出ている」「試合が終わってこんな(悔しい)気持ちになっているのは初めて」「みんなが考え直さないといけない」と、目を真っ赤にして声を荒げた。ホームアリーナの通路で涙を浮かべる渡邊に"孤独"を感じた。

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