2020.05.15

渡邊雄太が両親の前で涙の最多得点。
大学最後のホームゲームで壁を超えた

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by ZUMA Press/AFLO

東京五輪&パラリンピック
注目アスリート「覚醒の時」
第3回 バスケットボール・渡邊雄太
ジョージ・ワシントン大学でのホーム最終戦(2018年)
 
 アスリートの「覚醒の時」——。

 それはアスリート本人でも明確には認識できないものかもしれない。

 ただ、その選手に注目し、取材してきた者だからこそ「この時、持っている才能が大きく花開いた」と言える試合や場面に遭遇することがある。

 東京五輪での活躍が期待されるアスリートたちにとって、そのタイミングは果たしていつだったのか……。筆者が思う「その時」を紹介していく——。

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ジョージ・ワシントン大学で大きく成長した渡邊 日本人史上2人目のNBAプレイヤー・渡邊雄太は、2018年までの4年間、全米大学体育協会(NCAA)1部のジョージ・ワシントン大学で腕を磨いた。渡邊曰く、カレッジ時代を振り返っての”最高の思い出”は3つあるという。

 ひとつ目は2年時のシーズン中、当時全米ランキング7位だったバージニア大学を地元コートで破ったゲーム。ふたつ目は同シーズンの締めくくりに、マディソン・スクウェア・ガーデンで行なわれたナショナル・インビテーション・トーナメントの準決勝と決勝を勝利し、優勝を飾ったこと。

 そして最後のひとつが、両親が見ている前で自己最多の31得点を挙げた、4年時のホーム最終戦だった。

 筆者は渡邊が在学中、ジョージ・ワシントン大学のホームゲームに通い詰めた。日本人離れした渡邊の素質と能力に魅せられただけでなく、真摯な人柄と情熱に惹きつけられたからだ。

 その取材歴の中でも、2018年2月28日に開催されたフォーダム大学との”シニアナイト”は、その場に居合わせた誰もが忘れられないだろう劇的なものだった。振り返れば、渡邊が大きな壁を越えたことを証明するような一戦だったように思える。