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折茂武彦はBリーグの今後を
憂いている。「全然盤石じゃない」 (2ページ目)

  • 永塚和志●取材・文 text by Kaz Nagatsuka
  • photo by Kyodo News

 そんな折茂を、桜井は「やっぱり持っている人」と表現した。

 今季でトップリーグ在籍、27シーズン目。Bリーグ以前は、JBL(日本バスケットボールリーグ)やNBL(ナショナル・バスケットボール・リーグ)でプレーしてきた折茂は、過去のオールスターゲームで実に8度もMVPを手中にしている。今回はさらにひとつ、トロフィーを加えた。「持っている」のだ。

 2018年末に北海道でのオールスター開催が発表され、2019-2020年シーズン前に折茂は「現役最後のシーズンになる」と表明した。今回のイベントが「折茂のオールスター」になるのは必然だったが、本当にそうなった。

 ただ日本バスケットボール界に名を残す優れた選手だったから、というだけではない。

 2007年、トヨタという大企業のチームを離れて縁のない北海道へとやってきて、財政危機からチームの存続が危ぶまれたあとも選手兼社長という形で苦労を重ながら支えてきた姿を、ファンはみんな知っている。そんな折茂には、いつしか人を惹き付ける"磁力"が生まれていた。

 今回のオールスター、折茂以外で気持ちを高ぶらせていた選手のひとりが、竹内公輔(宇都宮)だ。クラブでチームメイトになったことはないが、2006年に日本で開催された世界選手権(現ワールドカップ)など、日本代表では折茂にずいぶんと「かわいがって」もらっていたようだ。

 試合中、タイムアウト明けで折茂と竹内は、何か話し合っているように見えた。てっきり、プレー再開後にどうするかを話し合っていたのかと思いきや、どうやらそうではなかった。

「ほんと、しょうもないことです」

 笑いながら、竹内はそう話した。

「折茂さんに対して素の自分を出せるのは、僕と(双子の弟の)譲次と良太くらいしかいなかったので。下(若手)は気を遣っちゃうから」

 そのコート上での会話の内容は失念してしまっていたが、ベンチでは普段以上に気持ちの入ったプレーをする折茂に対して、「リバウンドとかディフェンスとかがんばって、あんなの見たことないですよ。めっちゃがんばってますやん」と、いじっていたそうだ。

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