2020.01.21

折茂武彦はBリーグの今後を
憂いている。「全然盤石じゃない」

  • 永塚和志●取材・文 text by Kaz Nagatsuka
  • photo by Kyodo News

 その時点で、試合はほぼ決していた。だが、その試合でおそらく最大の見せ場は、最後の最後にやってきた。

 時計は残り数秒――。ジェフ・ギブス(宇都宮ブレックス)はフロントコートのサイドライン際を走る折茂武彦(レバンガ北海道)の姿を認め、すかさず長いパスを送った。

 ボールを受け取った折茂は、時計に目をやりながらドリブルをふたつ、3つ突いてトップ・オブ・ザ・キー付近まで来ると、体勢が十全に整わないなかでスリーポイントシュートを放った。

自身最後のオールスターでMVPに選出された折茂武彦 ボールがリングに吸い込まれることはなかった。同時にブザーが鳴り、折茂のB.BLACKがB.WHITEを123-117で破って、北海道開催のBリーグオールスターは幕を閉じた。

 ここのところ、レギュラーシーズンでは出ても5分程度、出場しないこともままあった。日本のバスケットボール史上最高のスコアラーで30年近いキャリアがあっても、試合勘のなさが、決まってもおかしくないショットを決めさせてくれなかった。

「最後、ちょっと見ちゃったんですよ、秒数を」

 折茂は試合後、そう話した。

「持ってなかったですね」

 今季でユニフォームを脱ぐ49歳は、照れたような笑顔でそう言葉を紡いだ。

 実業団のトヨタ自動車(現・アルバルク東京)時代から現在所属するレバンガ北海道まで、15年間、同じチームで苦楽をともにしてきた桜井良太の目には、そうは映らなかった。

 ファン投票で選出されてB.BLACKチームの先発メンバーとして出場した折茂は、周囲の多大な期待のなかで試合開始直後、いきなり柔らかなジャンプショットを沈め、コートに計17分43秒立ち、14得点を挙げた。得意のスリーポイントは10本の試投で2本しか決められなかったが、ファンは”レジェンド”が華麗なショットを打つ姿を見られただけでも幸福感を覚えたはずだ。

 同じB.BLACKのライアン・ロシター(宇都宮)がトリプルダブル(30得点・17リバウンド・10アシスト)と活躍したが、SNSによるファン投票によるMVP決定方式では、地元のヒーローが賞をもらわないはずはなかった。4選手を対象とした投票で、折茂は79パーセントもの支持を得た。