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NBAプレーオフの舞台裏。
カリー対カリーは「特別な時間だった」 (2ページ目)

  • 宮地陽子●取材・文 text by Miyaji Yoko
  • photo by Getty Images

 兄弟がNBAのコート上で対戦できるようになったのは、セスがNBAに定着するようになったサクラメント・キングスにいた2015-2016シーズンからのこと。それから今シーズンまで、レギュラーシーズンで9回対戦してきたが、対戦成績はステフのチーム(ウォリアーズ)が7勝。セスのチームは今季までウォリアーズ相手に勝利することができなかったが、今季はレギュラーシーズンで2勝をあげている。

 今回のウェスタン・カンファレンス・ファイナルは、カリー兄弟にとって、プレーオフでの初めての対決だった。NBA史上でも、兄弟がカンファレンス・ファイナルで対戦するのは初めてのことだという。

 ステフにとっては5年連続出場の慣れた舞台だが、セスにとっては初めてのカンファレンス・ファイナルだ。なにしろ、セスは今シーズンまでカンファレンス・ファイナルどころか、プレーオフにも出たことがなかった。昨季までは、プレーオフが始まる前に自分のシーズンは終わり、この時期はいつもスタンドから兄を応援するばかりだった。

「ステフがウェスタン・カンファレンス・ファイナルでプレーするのを、何年も他の観客と一緒にスタンドから見てきた。NBAファイナルをかけて、コート上で戦えるのは楽しくなりそうだ。僕らふたりにとって、夢が現実になった」と、セスは言う。

 ステフは、セスがどれだけの苦労や努力をしてきたのかを、誰よりも理解しているひとりだ。その苦労を乗り越えて、NBAに定着した弟を誇りにも思っている。

「彼(セス)は、今のところに自分の居場所があるとわかるまで、僕とは別な道を通ってきた。それでも、彼の自信が失われることはなかった。いつでも全力で努力する。昨季(ダラス・マーベリックス所属時に故障で)1年間欠場しても、ポートランドが彼をチームに加えたいと思い、ローテーションに入ったのには、それだけの理由がある。僕としても、彼がある意味、無理だと言われる状況を覆してくるのを見るのは楽しかった」

 セスが兄とは『別の道』を通って、苦労してたどり着いた大舞台だったからこそ、このシリーズは特別だった。なかでも、第2戦は思い出に残る試合となった。

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