2019.06.17

勝ち続けたツケの敗戦か。ファイナルの
不運がウォリアーズに落とす影

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by Getty Images

 2019年のNBAファイナル第5戦、第6戦で起こったことは、末永く語り継がれていくに違いない。

 3連覇を目指すゴールデンステイト・ウォリアーズが絶対有利と目されていた今年のファイナルだったが、蓋を開けてみれば意外な展開となった。開始からシリーズを押し気味に進めたのは、創設24年目にして初めてイースタン・カンファレンスを制したトロント・ラプターズ。カナダのチームとしても初めてファイナルに進んだラプターズは、大舞台でものびのびしたプレーで3勝1敗と王手をかけた。その後、窮地に立ったウォリアーズに追い打ちをかけるような不運が襲ったのである。

 右ふくらはぎのケガで1カ月ほど離脱していたケビン・デュラントが、現地時間6月10日に行なわれた第5戦で復帰するも、第2クォーター途中に再び右足を痛めて退場。2日後にはアキレス腱を断裂したことが明らかになり、手術を受けたデュラントの今シーズンは終わりを告げ、来シーズンにも暗雲が立ち込めた。

 エースをゲーム中に失う厳しい状況下で、敵地での第5戦を大逆転で制したウォリアーズの闘志と粘りは見事と言うしかない。ところが、アクシデントはこれで終わらなかった。

 6月13日の第6戦では、ステフィン・カリーとともにチームの屋台骨を背負ってきたクレイ・トンプソンが、第3クォーター途中に左膝を痛めて離脱。後に左膝前十字靭帯の断裂と発表された。盟友が倒れる絶望的な場面を目の当たりにし、試合中にコートに座り込んだカリーの姿がすべてを象徴しているようだった。

ケガ人が続出したウォリアーズを最後までけん引したカリー「ケガをしてしまった選手たちのことを思うと、不憫でならない。ケガはNBAのシーズンには付き物で、いかなるプロフェッショナルスポーツでも起こること。しかし、酷い話だ。彼らが直面していることは酷い話でしかない」

 ウォリアーズのスティーブ・カーHCはそう述べたが、実際にファイナルの2試合連続でエース級の選手が重症を負うことなど前代未聞だろう。それでも最後まで死力を尽くしたウォリアーズだったが、より健康で、フレッシュで、層の厚いラプターズを相手に持ちこたえられるはずがなかった。

 第6戦も、最終クォーター残り18.5秒で110-111と1点差まで迫ったが、最後はウォリアーズ黄金期の象徴でもあったカリーのシュートが外れて万事休す。5年間で4度目の優勝を目指したウォリアーズの夢は潰えた。同時にそれは、現代の最強チームが築いた一時代が終わりを迎えた瞬間でもあったのかもしれない。