勝ち続けたツケの敗戦か。ファイナルの不運がウォリアーズに落とす影 (3ページ目)

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by Getty Images

「自分たちのDNA、チームの気持ちの部分などを考えると、来シーズンも、これから先も、この舞台に戻って来られないとは思わない。最後まで戦った自分たちを誇りに思うし、この5年間の歩みはすばらしかった。自分たちの時代はまだ終わっていない」

 試合後の会見時にカリーはそう述べ、"ウォリアーズ時代"の継続を宣言していた。しかし、王者の意地は確かに侮れないが、来シーズン以降に立て直していくのは容易な作業ではない。デュラント、トンプソンはFAになり、特にデュラントは移籍が有力視されてきた。再契約が濃厚なトンプソンも、全治までに8カ月以上かかるとみられていて、年内復帰は絶望的。だとすれば、ハイレベルなチームが揃うウェスタン・カンファレンスでの苦戦は必至だろう。

 デュラントとトンプソンの両方、あるいは、どちらかひとりでも再契約できれば、彼らが健康体に戻る2年後にはコンテンダー(チャンピオンに挑む挑戦者)に戻れる可能性がある。ただ、その2年でウォリアーズの主力メンバーが年齢を重ねることを忘れるべきではない。ピーク時の魅力的なチームプレーを取り戻せるかどうかは不透明だ。

「このチームのHCになれた私は幸運だった。選手たちにも、ロッカールームで同じことを伝えた。彼らと一緒にやれて、指導できる立場に就けたことへの感謝の気持ちは十分に伝えられない。彼らと日々を過ごし、競い合う姿を見られて、これ以上幸運なことはなかった」

 カーHCのそんな言葉に、多くのバスケットボールファンは納得するだろう。過去5年間、ウォリアーズは美しく、献身的で、独創的なバスケットボールを見せてくれた。デュラント加入後は悪役になったが、それでも常に"リーグ最大のショー"であり続けた。カーHCとウォリアーズのファンだけでなく、アンチでさえも、彼らのプレーをオンタイムで見られる時代に生まれたことは幸運だったに違いない。

 しかし、今も昔も盛者必衰の理は変わらない。どんな最強チームにも、いつか失墜のときが訪れる。今年のNBAファイナルで、故障に苦しみながら最後まで降伏を拒否した誇り高き姿は、現代のスーパーチームの最後の輝きになってしまうのか、それとも。

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