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勝ち続けたツケの敗戦か。ファイナルの
不運がウォリアーズに落とす影 (2ページ目)

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by Getty Images

 ウォリアーズにとって今シーズンは、なかなかリズムに乗り切れない厳しいシーズンだった。

 デュラント、カリー、トンプソン、ドレイモンド・グリーンというスーパースターを擁したチームは、昨オフにオールスター通算4度出場のデマーカス・カズンズを獲得。空前絶後の"ビッグ5誕生"と騒がれた。しかし、全ポジションにオールスターを経験した選手を揃えたにも関わらず、シーズン勝率.695(57勝25敗)はこの5年間では最低だった。

 レギュラーシーズンを通じてケガ人が多発し、エースのカリーは13戦、守備の要のグリーンも16戦を欠場。この傾向はポストシーズンに入っても変わらず、プレーオフでも第1ラウンドでカズンズ、カンファレンス・ファイナルではデュラント、ファイナルでは貴重なビッグマンのケボン・ルーニーがそれぞれ新たに故障した。こういった流れを振り返っていくと、ファイナル第5戦、第6戦で起こったことはもう単なるアクシデントとは言い切れないように思えてくる。

 これだけケガ人を出しながら、群雄割拠のウェスタン・カンファレンスを制し、絶好調のラプターズを最後まで追い詰めた。デュラントの再離脱とトンプソンのケガがなければ、ウォリアーズは悲願の3連覇を達成できていたのだろうか。

 そう思うファンもいるだろうが、そういった考え方は適切だとは思わない。コンディション調整、維持もチーム力の一部。今シリーズに照準を合わせ、ファイナルの時点でより優れたチームだったのは、間違いなくラプターズだった。

 無敵に思えた王者は少しずつ崩れていった。カーHCは「疲労の蓄積が(故障者続出に)関係しているのかは、私にはわからない」と述べていたが、シーズン開幕前の時点でスター軍団の疲れを懸念する声が出ていたのも事実だ。5年連続で6月までプレーし、プレーオフだけでも合計105戦。数多くのバトルを乗り越えてきたウォリアーズは、確実に消耗していると感じられた。

 歴戦の疲れが何らかの形で出てくるのは必然。それらが最悪の形で、ファイナル第5戦、第6戦で露呈したということなのだろう。

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