来季FAの目玉、カワイ・レナード。静かなるスターはこれだけすごい

  • 杉浦大介●取材・文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by getty Images

 現地時間5月12日、カワイ・レナードが放った"ザ・ショット"は、トロント・ラプターズのチーム史に残るシュートとして語り継がれていくに違いない。

ラプターズのエースとしてチームをけん引するレナードラプターズのエースとしてチームをけん引するレナード フィラデルフィア・76ersと争ったイースタン・カンファレンス・セミファイナルは、6試合を終えた時点で3勝3敗。第7戦も90-90の同点で残り時間がわずかとなり、そのままオーバータイム(延長戦)に持ち込まれるかと思われた。

 若い選手が多い76ersの勢いに押され、地元開催のゲームでも不安を感じていたラプターズファンは多かっただろう。しかし――。

 残り4.2秒から始まった最後のプレーで、レナードは右コーナーからジャンプショットを放つ。ボールはリング上で4度弾み、静かにネットを通過した。あまりにも劇的なブザービーターで、ラプターズのカンファレンス・ファイナル進出が決定。ハリウッド映画のような結末は、1年前に大きな期待を持ってサンアントニオ・スパーズからレナードを迎え入れたラプターズも想定できなかったに違いない。

「(レナードが)自身のショットをクリエイトする技は、まるでコービー・ブライアントのようだ。すごい選手だよ」

 このシリーズ中、76ersのブレット・ブラウンHC(ヘッドコーチ)はNBA史に残るレジェンドを引き合いに出し、レナードに最大限の賞賛を与えていた。 

 そんな言葉が示すとおり、レナードは今季のMVP候補に挙がるほどの活躍を続けてきた。稀有な得点力を持つだけではなく、2015年、2016年に2年連続で最優秀守備選手にも選ばれた"コンプリートプレーヤー"。今季のプレーオフも、チーム内でダントツの平均30得点以上を挙げてきた背番号2の存在なしには、ラプターズの上位進出もありえなかった。

 ヴィンス・カーター、クリス・ボッシュ、デマー・デローザンといった優れた選手を輩出してきたラプターズでも、この活躍の過程でレナードこそが「フランチャイズ史上最高のプレーヤー」と呼ばれるようになったのだ。

 しかし、これだけトロントを沸かせてきたレナードも、ラプターズでプレーするのは今季限りかもしれない。

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