日本男子バスケのエースが豪州へ。
比江島慎の海外移籍への決意 (3ページ目)
今季NBLでは、外国人枠とは別に国内選手枠(オーストラリア/ニュージーランド)の中に1人のアジア人枠が設けられ、そのルールを適用したのが今回の比江島の移籍であり、『現実的』な海外挑戦へのルートだった。比江島は日本のエースにして、2017-18シーズンのBリーグMVPである。機は熟した。彼が行かなきゃ誰が行く。
なかなか一歩を踏み出せなかったエースの背中を押したのは、今年5月に亡くなった母、淳子さんだった。比江島の個人エージェントを務めていた淳子さんは、亡くなる直前までオーストラリアをはじめとする海外情報を調べては、移籍先を探って動いていたのだ。
最終的には、オーストラリアリーグでコーチ経験があり、現在Bリーグの滋賀レイクスターズでヘッドコーチを務めるショーン・デニスの紹介によって今回の道が開けたのだが、母として、エージェントとしての熱意がなければこの扉は開かなかった。(現在は、比江島の実兄である章氏がエージェント業を引き継いでいる)。
「自分の夢であるワールドカップやオリンピックに出るためには、もっと成長しなければならず、今、海外に行かなくては後悔すると思い、このタイミングで行くことを決心しました。ちょうどオーストラリアのNBLでアジア枠が復活すると聞いて、自分でも通用すると思ったんです。なかなか決断できなかったんですけど、今回の挑戦は母が一生懸命に動いてくれて、母が残してくれたものなので、あとは自分がやるだけです」
オーストラリア代表とブリスベンの指揮官を務めるアンドレイ・レマニス氏は11月の予選時に比江島について「日本でもっとも警戒する選手」と発言していただけに、入団にあたっては歓迎の姿勢だ。
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