日本男子バスケのエースが豪州へ。
比江島慎の海外移籍への決意 (2ページ目)
日本人初となるオーストラリアリーグへの移籍。事が動き出したのは昨年11月のワールドカップ予選でのことだった。
オーストラリアでのアウェー戦の視察に来ていた日本のエージェントが、「NBLにアジア人枠が復活する」という情報を入手した。その旨を取材の際に比江島に伝えると「本当ですか!?」と、いつになく食らいついてきた。比江島は常にゴールに向かうプレースタイルとは裏腹に、インタビューでは口数が少なく、答えを絞り出すのに時間を要するタイプだ。その彼が身を乗り出してきたのだから、日本を飛び出したい気持ちが切に伝わってきた。
28歳を迎えたばかりの比江島が海外挑戦を意識し始めたのは、アジア選手権で活躍して名を知らしめた2015年、そしてオリンピック世界最終予選に出て惨敗した2016年あたりだという。ちょうど日本のエースとしての自覚が備わってきた頃だ。今年6月の代表活動中にはこう語っていた。
「自分のプレーはアジアでは通用するのですが、世界最終予選でヨーロッパ勢に惨敗してしまい、このままでは世界に通用しないと痛感しました。言い方は悪いですが、日本の試合では調整できる時間帯があるけれど、代表戦は常に全力でやらなくては勝てない。自分はそれが楽しいし、求めていることでもある。でも、今までは海外に行く勇気がなかった。海外に出るなら......もう今年しかないと思っています」
渡邊雄太(23歳)や八村塁(20歳)がアメリカに渡ってNCAAの舞台で力をつけてきた現状を見れば、海外で揉まれることが成長への近道であることは間違いない。ただ、誰もが簡単に海を渡れるわけではない。とくに海外リーグからオファーをもらうことは難しく、外国人枠があるリーグに関しては、能力もサイズも実績もない日本人選手を獲得するケースはゼロに等しいのが現実だ。
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