29分でなんと60得点。クレイ・トンプソンが示した「No.1の証」 (2ページ目)

  • 宮地陽子●取材・文 text by Miyaji Yoko
  • photo by AFLO

 プレーヤー・トラッキング・システムの『SportVu』を用いた記録によると、トンプソンが試合を通してボールを触った回数は52回。ボールを保持した時間は通算でわずか90秒だったというから、その効率のよさはずば抜けている。「ボールを持っていたのが90秒というのは、自分でも驚きだった」と、当の本人も驚くほどだ。

 歴史に残る記録を達成したトンプソンだが、当人は普段から感情を表に出すことが少なく、いろいろと掴みどころのない選手だ。チームメイトのステファン・カリー(PG)や、今季から加入したケビン・デュラント(SF)の陰に隠れても文句を言うことなく、一見おとなしく、脇役でも満足しているように見える。周囲の声など聞いてもいないようなマイペース型にも見える。

 しかし、実際には負けず嫌いの強い競争心の持ち主だ。周囲からの評価もよくわかっていて、表には出さない静かな自信や反骨心を持っている。

 たとえば2年ほど前、まだ初めてオールスターに選ばれる前から、「自分はリーグでトップクラスのシューティングガードになれる」と公言したことがあった。そのインタビューでトンプソンは、「人々から過小評価されていると思うか」と聞かれ、こう答えている。

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