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29分でなんと60得点。
クレイ・トンプソンが示した「No.1の証」

  • 宮地陽子●取材・文 text by Miyaji Yoko
  • photo by AFLO

 2006年1月にコービー・ブライアント(当時ロサンゼルス・レイカーズ)がNBA史上2番目に多い81得点をあげた試合を、クレイ・トンプソン(ゴールデンステート・ウォリアーズ/SG)はよく覚えているという。当時15歳だったトンプソンは、レイカーズの専属解説者を務める父のマイカル・トンプソンから、その日のレイカーズ対トロント・ラプターズの試合に行かないかと誘われていた。

NBA屈指のシューターにまで成長したクレイ・トンプソンNBA屈指のシューターにまで成長したクレイ・トンプソン「でも、ラプターズには、もうビンス・カーターがいなかったし、断ってしまったんだ」

 コービーは、子どものころからトンプソンの憧れの選手だ。それなのに、ビンス・カーターがいないという理由だけで、歴史的な試合を見逃してしまった。以来、コービーの81得点試合のハイライト映像を見るたびに、「あの日、試合に行けばよかった」と後悔しているのだという。

 それから約11年経ち、トンプソン自身がコービーと比べられるぐらいの偉業を達成した。12月5日、インディアナ・ペイサーズを相手に60得点をあげたのだ。

 コービーの81得点より21得点少ないが、出場時間はコービーが41分だったのに対し、トンプソンはわずか29分。大差でリードしていたこともあって、第4クォーターは試合に出る必要がなかったのだ。1分あたりの得点で比べると、この試合でのトンプソンは2.07得点、81得点をあげたときのコービーは1.98得点と、コービーを上回るペースだった。スポーツ記録専門の会社『エリアス・スポーツ・ビューロー』によると、ショットクロック(※)が採用になった1954年以降に30分未満で60得点以上を記録したのは、トンプソンだけだという。

※ショットクロック=NBAではボールポゼッションが変わってから24秒以内にゴールするか、ボールがリングに触れなくてはならない。

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