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29分でなんと60得点。
クレイ・トンプソンが示した「No.1の証」 (4ページ目)

  • 宮地陽子●取材・文 text by Miyaji Yoko
  • photo by AFLO

「子どものころから、兄弟や友だちに負けるのが大嫌いだったんだ」と、トンプソンは振り返る。

 思えば、長男でも末っ子でもなく、次男だったことが、彼の性格に影響しているのかもしれない。長男のようにリーダーシップや責任を求められるわけではなく、末っ子のように甘やかされるわけでもなく、愛情や注目を分け合うことは、競い合うことと同じぐらい日常だった。

 高校のころ、まだ世間から評価され、注目されるようになる前、父から「お前は1億ドルのジャンプシュートを持っている」と言われたことがあったという。このとき、クレイは冗談としてとり合わなかったというから、大きな野望を抱く少年ではなかったようだ。

「父からはいつも、『もっと大胆になれ。自分がベストだと信じなくてはいけない』と言われてきた」とトンプソンは言う。たしかに、父がレイカーズでチームメイトだったマジック・ジョンソンも、憧れのコービー・ブライアントも、自信家で、その自信を表に出すことを躊躇(ちゅうちょ)しなかった。そんな父から背中を押され、先人たちの手本に従い、トンプソンも少しずつ自分に自信を持ち、それを表に出すようにもなった。「リーグでトップクラスのシューティングガードになれる」と宣言したのも、父のアドバイスの影響だった。

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