【NBA】4強決定。ファイナルの切符を掴むのはどこだ? (2ページ目)

  • 水野光博●構成・文 text by Mizuno Mitsuhiro photo by AFLO

design by Unno Satorudesign by Unno Satoru ヒバートの復活と同時に、チームもようやく目覚めた。続く第3戦では、自慢のディフェンス力が際立ち、85対63と圧勝。ポール・ジョージは、「これが俺たちのスタイルだ!」と胸を張った。その後、ペイサーズは第5戦こそ落としたものの、4勝2敗でカンファレンス・ファイナルに進んだ。

 一方、イースタン第2シードのヒートは、1回戦のシャーロット・ボブキャッツをスイープ(4勝0敗)、ブルックリン・ネッツとのカンファレンス・セミファイナルも、わずかひとつ星を落としただけで、カンファレンス・ファイナルに進出。

 もちろん、どの試合も危なげなく勝ち切ったわけではない。しかし、ヒートにはレブロン・ジェームズがいた。レギュラーシーズンでは平均27.1得点だったが、プレイオフではさらに成績を上昇させ、9試合の平均は30.0得点。リバウンド7.1本、アシスト4.7本、スティール1.6も、チーム1位という大車輪の活躍を見せた。しかも、プレイオフに入ってからのフィールドゴール・パーセンテージは56.4%。どのチームもレブロン対策を練る中、2本に1本以上の確率でショットを沈めている。まさに、アンストッパブルな活躍だ。中でも圧巻だったのが、ネッツとの第4戦。プレイオフ・キャリアハイタイとなる49得点、6リバウンド、3スティールを記録してチームを牽引した。ヒートが4年連続のカンファレンス・ファイナル出場を決めた直後も、「次も決して簡単な戦いにはならない。それはいつだって一緒だ」と、2年連続ファイナルMVP受賞中の男は、一切のおごりを見せていない。

 ペイサーズ対ヒートは、奇しくも1年前と同じ顔合わせ。昨年、第7戦までもつれ込んだように、両チームの力は五分と言っていいだろう。尻上がりに調子を上げるペイサーズが昨年のリベンジを果たすのか、それとも再びヒートがペイサーズを退けてNBAファイナルに進み、スリーピート(3連覇)の権利を手にすることになるのか......。勝敗を分けるのは、ペイサーズのディフェンス力と、レブロンのオフェンス力、どちらが上回るかだ。ペイサーズはプレイオフ13試合中、失点を100点以下に抑えた試合が10試合ある。その勝率は90%。ペイサーズのデビッド・ウェストは言う。

「俺たちはテレビ栄えなど気にしない。他のチームは、(大量得点する)幻想的なバスケットボールで観客の空虚さを埋める。だが、そんなことを俺たちは気にかけない。俺たちは80点台でゲームに勝つことができる」

 ペイサーズは、時にディフェンシブで退屈だと言われようとも、そのスタイルを曲げるつもりは一切ない。

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