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【F1】角田裕毅がチームのミスで入賞を逃すもキレなかったワケ 「叫んでも何にもならない」リーダーとしての自覚

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

F1第1戦オーストラリアGPレビュー(後編)

◆レビュー前編>>

 2025シーズンF1開幕戦、オーストラリアGP──。

 5番グリッドから挑んだ角田裕毅(レーシングブルズ)の決勝は、予報どおりの雨。予選ではこの位置をつかみ取ったとはいえ、フェラーリ勢が不発に終わったことを考えれば、実質的な戦いはウイリアムズ勢との7位争いとなる。

 スタートでフェラーリのシャルル・ルクレール(予選7位)に先行を許し6位に落ちたものの、それは想定の範囲内。ウイリアムズのアレクサンダー・アルボン(予選6位)を抑えて、むしろ引き離していく速さを見せられた時点で、角田のレースは順調だった。

予選5位から入賞を逃して肩を落とす角田裕毅 photo by BOOZY予選5位から入賞を逃して肩を落とす角田裕毅 photo by BOOZYこの記事に関連する写真を見る 新人たちが次々とコントロールを失ってコンクリートウォールの餌食になっていく荒れたレースのなか、路面は徐々に乾いていき、ドライタイヤへの交換でもポジションを堅守。角田はステディな走りで6位入賞に向けてひた走っていた。

 しかし、夏から秋へかけてのこの時期のメルボルンは、天候が変わりやすい。レース終盤になって、またも雨の予報が出てきた。それも「非常に強いが1〜2周だけしか降り続かない」という厄介な雨だ。

 事故処理のため入っていたセーフティカーが抜けて、ドライタイヤで走り始めた3周後、その雨は最終セクターで突然やってきた。

 トップのマクラーレン勢が揃ってターン12でコースオフを喫し、インターミディエイトタイヤを求めてピットレーンに飛び込む。しかし、ここまで劣勢だったレッドブルのマックス・フェルスタッペンは、一発逆転を狙ってステイアウト。ターン12をクリアした角田もステイアウト。

 最終セクター以外はまだ雨が降りだしておらず、この判断は間違いではなかった。数周後には再び雨がやむ予報なのだから......。

 しかし、予想に反して雨は広範囲に広がり、2周が経過してもコンディションはさらに悪化していくばかりだった。

 フェルスタッペンはたまらず2周後にピットイン。それに対して、一度ピットへ呼び込んでいたレーシングブルズは角田に「ステイアウト」を指示。これが痛手となり、ルクレールと5位を争っていた角田は11位まで後退することとなってしまった。

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著者プロフィール

  • 米家峰起

    米家峰起 (よねや・みねおき)

    F1解説者。 1981年1月31日生まれ、兵庫県出身。F1雑誌の編集者からフリーランスとなり2009年にF1全戦取材を開始、F1取材歴14年。各種媒体に執筆、フジテレビNEXTやYouTube『F1LIFE channel』での解説を務める。

【写真】F1ウィリアムズ育成ドライバー・松井沙麗(当時13歳)インタビューカット集

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