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【F1】角田裕毅がチームのミスで入賞を逃すもキレなかったワケ 「叫んでも何にもならない」リーダーとしての自覚 (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

【戦略ミスがなければ4位入賞も...】

「残念です」

 ガックリと肩を落とした角田は言った。

「ウイリアムズ(アルボン/決勝5位)と戦っていたので、最低でもその前の4位では終われたと思います。だから、せめて1ポイントくらいは獲りたかったですね......」

 45周目にはまだドライで走れたセクター1が、翌周には急激に雨脚が強まって完全にウェットコンディションに変化していた。それを把握してタイヤ交換を決断できなかったチームの戦略ミスだった。

「ピットとやりとりはしましたけど、かなり複雑な状況でした。前の周(45周目)はセクター1で全然降っていなくて乾いていたんですけど、1周後(46周目)にはかなり降ってきていて、ドライタイヤではどうすることもできないレベルになっていたんです。

 でも、それは僕には把握できないので、チームとして(そういう情報のやりとりが必要だということを)今後に向けて学んで、さらに力強いレースができるようにしなければならないと思います」

 これに対してはチームも全面的に非を認め、角田には何の責任もないと明言した。

「雨がまた降り始めるまで、裕毅は非常に強力なパフォーマンスを見せていた。だが、言い訳しようがないように、我々の最後の戦略判断は間違っていた。それによって我々は、非常に大きな代償を支払うことになってしまった。裕毅には謝罪をしたい。彼をステイアウトさせるというギャンブルがうまくいかなかったんだ」(ローラン・メキース代表)

 だが、角田はチームを批判することも、叫ぶこともしなかった。

 それが、チームリーダーというものだからだ。

「レースはまだ終わってないぞ、声を上げていこうぜ」

 上位入賞のチャンスが途絶え、無線が滞りがちなレースエンジニアに対して、角田自身は鼓舞してマシンをフィニッシュまで運んだ。

「あのまま走っていれば、最後までウイリアムズを抑えきれたと思うので、複雑な気分です。でも、チームもまったく同じ気持ちだし、叫んでもネガティブなことを言っても何にもならないので、過去を振り返るのではなく、前を向いていくことが大切だと思っています。

 こういうことが起きないようにすることが一番大切。今年はとてもタイトな争いなので、間違いなく今後もこういうレースはあると思います」

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