【F1】角田裕毅の評価は下がっていない 最終戦後レッドブルのマシンでテストの可能性も
落胆のオースティン(第19戦アメリカGP)から4日。ピエール・ガスリー(アルピーヌ)とプライベートジェットのチャーター機をシェアしてメキシコシティにやってきた角田裕毅は、すっかり立ち直ってリフレッシュしている様子だった。
アメリカGPではなぜ後退したのか、なぜ正しい戦略が採れなかったのか──。表面的な結果に一喜一憂するのではなく、きちんと事実を見詰めることで整理し、自分たちに足りなかった部分を改善する。それが次に進むための方法だ。
角田裕毅は気持ちを切り替えてメキシコに到着 photo by BOOZYこの記事に関連する写真を見る「USGPはかなりレアな状況で、チームメイト(のリアム・ローソン)に限らずうしろからハードタイヤでスタートしたドライバーのリバースストラテジー(逆の戦略)がうまく機能しただけだと思っています。ああいったレアな展開を予測するのは難しかったし、あの状況で完璧なストラテジーを選択するのも難しかったと思います。チームを責めるつもりはありません」
想定外のタイヤのデグラデーション(性能低下)の小ささゆえ、ギャンブルだったはずのハードが当たり、定石だったはずのミディアムがハズレだった。
それと同時に、17周目という早い段階でピットインしたケビン・マグヌッセン(ハース)に釣られて、早めに入ってしまったことも敗因になった。その戦略ミスを招いたのは自身のフィードバック不足にも原因があったと、角田は理解している。
「タイヤはまだタレていなかったので、僕は焦っていませんでしたし、ピットインする前にタイヤの状況を(エンジニアに)毎ラップ、常に伝えるためのコミュニケーションはもっとうまくやれたはずだったと思います。そうすればもっといい戦略判断ができたかもしれません。これまでにも何度かそういうことが起きているので、チームとしても僕自身としても今後はこういうことがないように改善する必要があると思っています」
角田とチームの行き違いによる戦略判断ミスはこれまでにも何度かあったことだが、徐々に改善が見られていた。しかし、後半戦の第16戦イタリアGPからレースエンジニアが交代したこともあって、オースティンではその意思疎通が十分ではなく、まだ引っ張ることができる状況がチームに伝わっていなかった。
前を行くガスリーやマグヌッセンも同じ戦略で同じように後退し無得点に終わったこともあって、角田自身がドライバーとしてそれ以上に何かできたかと言えば、その余地はほとんどなかった可能性が高い。
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著者プロフィール
米家峰起 (よねや・みねおき)
F1解説者。 1981年1月31日生まれ、兵庫県出身。F1雑誌の編集者からフリーランスとなり2009年にF1全戦取材を開始、F1取材歴14年。各種媒体に執筆、フジテレビNEXTやYouTube『F1LIFE channel』での解説を務める。