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【F1】角田裕毅「わずか22秒でリタイア」に責任はない ただ「不運」で片づけることもできない

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

 11番グリッドから好発進を決めた角田裕毅(RB)は、前を行くニコ・ヒュルケンベルグ(ハース)、アレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ)のスリップストリームを順に使い、彼らよりも速度を稼いでアウト側に並びかけていった。

 そしてターン1に向けたブレーキングで前に出た瞬間、左リアに衝撃を感じたのと同時にマシンが右を向き、スピン状態のままウォールへと叩きつけられた。

 この間、わずか15秒。角田のマシンはそのまま為す術(すべ)なくコースオフしていき、7秒後にはランオフエリアの終点にあるバリアにうしろから刺さって止まった。

 こうして角田裕毅のメキシコシティGPは、わずか22秒で終わってしまった。

角田裕毅のメキシコシティGPは22秒で幕を下ろした photo by BOOZY角田裕毅のメキシコシティGPは22秒で幕を下ろした photo by BOOZYこの記事に関連する写真を見る「ターン1の入口でスペースがありませんでした。アレックス(・アルボン)もスペースがなかったですし、誰も責めることはできないと思います。完全にレーシングインシデントだと思います。もしターン1をクリアできていれば、かなりの台数をオーバーテイクできていたはずですけど、うまくいきませんでした」

 角田が悪いわけでも、アルボンが悪いわけでもなく、連鎖反応の発端となったイン側のピエール・ガスリー(アルピーヌ)が悪いわけでもない。高速からの急減速で複数のマシンが密集した、避けようのないインシデントだった。

 それは角田だけでなく、アルボンをはじめとしたほかのドライバーたち、RBやウイリアムズの首脳陣など、レースを知る者たち全員の共通見解だった。

 しかし、これを不運で片づけることはできない。

 ハース勢はまたしても中団トップの7位・9位でダブル入賞を果たし、一方のRBはリアム・ローソンのハードタイヤスタートも不発でノーポイント。すでに10点もの差がついてしまった。

 そもそも、このような混雑した場所からスタートしていなければ、混乱に巻き込まれるリスクは圧倒的に少なかったはずだ。

 金曜フリー走行で2回ともに3位、予選直前のFP3でも7位。メキシコシティでの角田には、予選で中団トップの座を掴み獲るだけの速さがあったはずだった。

 しかし、予選Q2でクラッシュを喫し、自身は11位、そしてローソンのアタックも赤旗でフイにして、Q3進出を阻む結果になってしまった。

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著者プロフィール

  • 米家峰起

    米家峰起 (よねや・みねおき)

    F1解説者。 1981年1月31日生まれ、兵庫県出身。F1雑誌の編集者からフリーランスとなり2009年にF1全戦取材を開始、F1取材歴14年。各種媒体に執筆、フジテレビNEXTやYouTube『F1LIFE channel』での解説を務める。

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