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【F1】角田裕毅「わずか22秒でリタイア」に責任はない ただ「不運」で片づけることもできない (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

【角田の「悪いクセ」が出てしまった】

 この週末、最大の失策はそこにあった。

 中団上位を争う7台が0.1〜0.2秒差にひしめく大接戦で、プッシュしなければ簡単にQ3進出を逃してしまう難しいシチュエーションだったことは確かだ。もちろんそのなかには、土曜になってタイムを上げてきたチームメイトのローソンもいた。

 しかし、そのなかで角田は余裕を持ってQ3に行けたはずだったのに、ターン12でフロントタイヤをロックアップさせて挙動を乱し、クラッシュしてしまった。

予選Q3に進める速さはあったのだが... photo by BOOZY予選Q3に進める速さはあったのだが... photo by BOOZYこの記事に関連する写真を見る「セクター2では自己ベストを更新できていたので、あんまりプッシュしているわけでもありませんでしたし、今週末、あそこでロックアップしたことは一度もなかったので、ちょっと変な感じで驚きました」

 角田はそう訝(いぶか)しんだが、ターン12入口の縁石は路面にアンチスリップ塗料でペイントしただけのものであり、それが原因でロックアップしたわけではない。それよりも、ターン12手前にある50メートルの再舗装区間から旧舗装に戻るバンプを越える瞬間にブレーキングをしたことで、ロックアップした可能性が高い。

 ロックアップを避けるために、ターン12に向けてはバンプ手前で早めにブレーキングをするよう予選でも決勝でもケアしていた。しかし角田自身が言うように、プッシュしていなかったにもかかわらずそこでブレーキングしてしまったのだとしたら、目の前のアタックラップや一つひとつのコーナーに対する意識が知らず知らずのうちに疎(おろそ)かになっていたのだろう。

 デビュー直後の2021年イモラ(第2戦エミリア・ロマーニャGP)の予選にせよ、今年のハンガロリンク(第13戦ハンガリーGP)の予選にせよ、好結果が望める状況下で無意識のうちにプッシュしすぎてしまうのは、角田の悪いクセだ。

 好結果を掴み獲るために意識してマシンの限界ギリギリを攻めた結果なら、まだ仕方ないと言える。しかし、そうではない。

 チーム全体としても、こうしたバンプの把握とそれに対するドライビング管理の徹底ができていなかったのだとしたら、ケアが足りなかったと言える。

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