【F1】角田裕毅の評価は「7.5点」 前半戦のターニングポイントとベストレースを語った (3ページ目)
【日本GPの10位で湧き出た感情】
ターニングポイントは開幕戦バーレーンGPだったと、角田は言う。
「ターニングポイントになったのは、今年のバーレーンじゃないですかね。感情をコントロールしなくちゃいけないんだ、ということを痛感するきっかけになりましたから」
バーレーンGPでは戦略の異なるチームメイトに(先を)譲るよう指示されたにもかかわらず、最後にポジションを戻してくれなかったチームオーダーに対して苛立ちを爆発させ、フィニッシュ後のインラップでリカルドに対して幅寄せ行為をしてしまった。チーム側も認めたように彼らの運営ミスだったとはいえ、角田の行為や無線でのやりとりは不必要だった。
冷静になってそれを見返し、自身の完成形を見せるためにはこういったメンタルコントロールもさらに強化する必要を痛感した。それを心がけたことで、以降のレース中のパフォーマンスの安定性が上がり、結果につながっていったことも事実だ。
「バーレーンGPから比べて、一番改善できたのは無線コミュニケーションだと思います。叫ばず、自分自身の感情を可能なかぎり抑えておくことはメリットがあると思いますし、そこにエネルギーを使わないようにすることがプラスだと感じています。
以前はそこでエネルギーを浪費して、結果に影響していたと思うんです。だけど今はまず、自分を黙らせて落ち着かせるように努力しています。かなり若い頃から叫ぶのに慣れてしまっていたので簡単ではないんですけど、自分で(イライラして)舌を噛み切らないかぎりはこれを続けていくつもりです(笑)」
そんな角田の前半戦ベストレースは、10位入賞の日本GPだという。
「鈴鹿ですね。ホームグランプリだし、いろんな意味で。日本人としてホームグランプリでポイントを獲れたのはうれしかったですし、それが一番思い出に残っていますね」
前半戦のベストというだけでなく、これまでのキャリアのなかでもベストなレースだと角田は言う。
あの大勢の日本のファンの前で大きな責任感とプレッシャーを背負いながら走り、マシンの限界ギリギリの走りでQ3に進み、針の穴に糸を通すような走りと戦略で中団トップの座を勝ち取り、アストンマーティンの1台を実力で抑えて掴み獲った10位1ポイント。
10位という結果ではなく、その内容こそが、今年の角田裕毅の成長と"完成形"を体現していたように感じられた。
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