【F1】角田裕毅の評価は「7.5点」 前半戦のターニングポイントとベストレースを語った (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

【昨年最終戦で語った2024年の目標】

 ハンガリーGPの予選では、このくらい大丈夫だろうというほんのわずかなコースのはみ出しが大きな事故につながった。結果、「予選6位もあり得た」というチャンスをフイにしてしまった。

 また、マイアミGPのスプリント予選でも、タイムアタックのタイミングを誤っていなければ、4位の大躍進を果たしたのは同僚のダニエル・リカルドではなく、角田だったかもしれない。そういうビッグチャンスを逃したのも、実は大きな痛手だった。

 それでも14戦のうち7戦でポイントを獲り、マシンの実力以上の走りを見せ、結果につなげた。予選はリカルドに対して9勝4敗(PUペナルティのベルギーGP除く)、決勝は8勝5敗(両者リタイアの中国GP除く)と大きく勝ち越した。特に第8戦モナコGPまでは予選も決勝も1敗しかしない、圧倒的な速さと強さを見せた。

 スペインGP以降は、アップグレード失敗からの検証作業で思うようにパフォーマンスを追究できなかったり、ベルギーGPではマシン不調もあったりした。ハンガリーGP予選のクラッシュがなければ予選は10勝4敗、そして予選・決勝ともに大きなインパクトを残していたかもしれない。対リカルドのスタッツは、もっと角田優位の結果になっていてもおかしくなかった。

「かなりのレースでQ3に進んで、中団グループのなかでも最多のポイントも獲り、目標としていたパフォーマンスを見せることはできたと思います。その点には満足していますので、(後半戦も)プッシュし続けるだけです」

 パーフェクトなレースを目指し、角田裕毅の完成形を見せる──。

 昨年最終戦を終えたあと、2024年に向けて角田が語っていた目標がそれだった。なぜなら、この2024年のパフォーマンスが、今後のF1キャリアを大きく左右することがわかっていたからだ。

 実際に、その目標をかなり高いレベルで達成し、だからこそ6月という異例の早さで翌年の契約を確定させることができた。ライバルチームから引き抜きの声がかかるほど高い評価を得たことが、レッドブルからの評価も高めることになったからだ。

2 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る