角田裕毅が最適の戦略で7位にジャンプアップも濡れた芝上でまさかのスピン 今季初の「ミスらしいミス」も次戦への糧に (3ページ目)
【8位を取り戻そうと躍起になってミス】
前のオコンに仕掛けていくに際して、うしろのリカルドの存在がプレッシャーになったのではと問われると、角田は「いや、(プレッシャーが)あってもなくても、あそこでミスしなければよかっただけなので」と自分を責めた。
「インターミディエイトで履き替えずステイアウトして、ドライタイヤに履き替えるタイミングもうまく合わせ込めました。戦略はよかったですし、チームもいい仕事をしてくれたと思います。
それだけに、こういう形の終わり方になってしまったことにガッカリしています。今日はマシンを最後まで持ち帰るべきレースでしたし、こういう結果になってしまったのはとても残念です」
端的に言えば、問題はブレーキそのものにあった。リカルドもブレーキを強く踏みすぎてロックアップし、カルロス・サインツ(フェラーリ)に抜かれている。
だが、どんなマシン状況であれ、それを使いこなしてこそ一流のF1ドライバーだ。それは決して不可能だったわけではない。
今回で言えば、角田のブレーキングの技術に問題があったわけではない。それよりもむしろ、保守的に走って9位確保でも構わなかったところで、8位を取り戻そうと躍起になったことですべてを失ってしまったアプローチにこそ問題があった。
人間は誰でもミスをする。そのミスから学び、原因を突き止めて対策することで、成長する。
今シーズン、初めてのミスらしいミス。そこから角田は学び、さらに優れたドライバーへと成長を見せてくれるはずだ。
著者プロフィール
米家峰起 (よねや・みねおき)
F1解説者。 1981年1月31日生まれ、兵庫県出身。F1雑誌の編集者からフリーランスとなり2009年にF1全戦取材を開始、F1取材歴14年。各種媒体に執筆、フジテレビNEXTやYouTube『F1LIFE channel』での解説を務める。
【写真】F1ウィリアムズ育成ドライバー・松井沙麗(13歳)インタビューカット集
3 / 3