角田裕毅が最適の戦略で7位にジャンプアップも濡れた芝上でまさかのスピン 今季初の「ミスらしいミス」も次戦への糧に (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

【ブレーキで急にロックアップする事態】

 だが、ミディアムタイヤに交換したところから、角田のレースは苦しくなっていった。

「ブレーキングに苦労していて、ドライに換えたあとはかなりミスが多くなってしまって、そこが一番の問題でした。ロックアップ(タイヤの回転が停止する状態)が多くて、それもいつロックアップするのか予想が難しい状態でした」

 レーシングカーのブレーキは、最初に200kgにも達するような激しい力で踏みつけ、それを徐々に弱めていくという特殊なコントロールが要求される。

 フルブレーキングをすれば、5Gもの減速Gで身体が前に振られる(G=重力による加速度)。市販車で身体が投げ出されるほどの急ブレーキをかけても、せいぜい1Gにしかならないと言えば、F1ドライバーたちがいかに激しいGに晒(さら)されているかがわかるだろう。それも1周のうちで何度も、そしてそれを70周も繰り返すのだ。

タイヤを労わりながら雨の中を走る角田裕毅 photo by BOOZYタイヤを労わりながら雨の中を走る角田裕毅 photo by BOOZYこの記事に関連する写真を見る そのブレーキングで、踏力を弱めていくフェイズの最後のほうで急にロックアップしたりする。その効き方が安定しておらず、角田はブレーキのコントロールに苦しんでいた。

 52周目にはターン6でマシンが止まりきらず、ランス・ストロール(アストンマーティン)に抜かれて8位へ。

 61周目にはターン10で右フロントがロックアップし、その次のバックストレートでエステバン・オコン(アルピーヌ)に抜かれて9位へ。

 そのオコンをなんとか抜き返そうとしているなかで、66周目のターン8で再び右フロントがロックしてコースから飛び出し、濡れた芝生の上でマシンが大きくスライドし、スピンしてしまった。

 角田が「僕のミスです」と言ったのは、そういうことだった。

 後方にはチームメイトのダニエル・リカルドがおり、ミディアムでは角田よりもペースがやや速かった。そのリカルドに対し、チームはポジションキープではなく「裕毅と自由に戦ってもいい」と指示を出した。

 リカルドに角田を抜く力があれば、前のオコンも抜いて8位を取り戻せるかもしれない。チームとしてふたりに順位を入れ換えさせるようなチームオーダーは出さなかったが、リカルドにその力があるならトライすればいい。それはある意味、ふたりのドライバー双方に対してフェアなスタンスだったと言える。

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