角田裕毅「すべてが負のスパイラル」だった中国GP 後方からの追突→リタイアは「非常に腹立たしい」 (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

【リアのグリップ不足「コーナーの出口で踏めない」】

「セットアップ面でベストな妥協点を見いだせたと思って、かなり自信を持って予選に臨んだんですけど、それが機能しなくて何も変わりませんでした。

 スプリント予選はアタックラップをまとめきれなかった自分にも問題がありましたし、50パーセントは自分のミスだったのでまだよかったですが、予選は自分自身としてはやれるだけのことはやりましたし、普通ならQ1で落ちるようなアタックラップではなかったと思うので、とてもフラストレーションを感じます」

中国GPでダブル入賞も期待されたRBだったが... photo by BOOZY中国GPでダブル入賞も期待されたRBだったが... photo by BOOZYこの記事に関連する写真を見る リアのグリップ不足を補うために、リアサスペンションを硬くする。そうすると、コーナリング時のしなやかさが失われて回頭性が悪化する。しかしリアのグリップ不足は改善せず、コーナーではアンダーステア、立ち上がりではオーバーステアという最悪の状態に陥ってしまう。

「予選に関しても、ロングランに関しても、全体的に問題はリアにありました。リアがスライドして、それを改善するためにリアを硬くすることによって回頭性が犠牲になる状態で、すべてが負のスパイラルに入っている状態でした。何周かダニエルのうしろで走っている時に彼の走りを見ていても、明らかにリアの挙動が違いました」

 それは、パワーユニットにも影響を及ぼした。

 当然ながら、全開率がわずかに下がるため、1周のなかでどう発電し、どうエネルギーを使うかというエネルギーマネジメントが違ってきてしまう。レース中に角田が「クリッピングしている」と回生ディプロイメント切れを訴えていたのはそのためだ。

 ホンダの現場責任者を務める折原伸太郎トラックサイドゼネラルマネジャーはこう語る。

「コーナーの出口で踏めない、というところですごく苦労していて、それはデータにも表われていました。全開率が大きく違ってくるほどではないのですが、それでもあのくらい(予選の0.303秒差)のラップタイムになるには十分な差だと言えます」

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