角田裕毅「すべてが負のスパイラル」だった中国GP 後方からの追突→リタイアは「非常に腹立たしい」 (4ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

【次のマイアミGPでは再び10位前後の争いを】

「彼が僕のリアを引っかけたのは明らかだと思いますし、僕としてはどうすることもできませんでした。僕としては、彼に対してかなりスペースを残してあげたつもりだったので、なおさらリタイアという結果にはフラストレーションを覚えますし、非常に腹立たしいです」

 リカルドも再スタート直前に前方不注意のランス・ストロール(アストンマーティン)に激しく追突され、フロアに大きなダメージを負ってリタイアを余儀なくされた。

 フラストレーションをクルマにぶつけるのは、決してよいことではない。それはすなわちチーム批判であり、チームと自分が一体ではないという意味になってしまうからだ。クルマを改善したいと願っているのはチームも同じで、一丸となって問題究明にあたってくれていることは角田自身もよくわかっている。

 だからこそ、決勝では自分も全力を尽くし、苦しい局面においても光明を見出そうと前を向いてレースをした。

 理不尽なかたちでレースを終えることになっても、感情を爆発させるのではなく、次に向けて状況を改善するためのプラスの要素に目を向けている。

「ポジティブな面に目を向ければ、過去数戦はコンスタントにポイント圏内にいて、次のマイアミでも本来のペースを取り戻せれば、また10位前後の争いができるはずです。そうやって力強く挽回することが重要で、今日のレースでもそれを念頭に置いて全力を尽くしました。

 追突されるまでは、可能なかぎりハードにプッシュしたつもりです。スタートで5つもポジションを上げていましたし、最大限のことはやれたと思います」

 苦境にあっても前を向き、チームとともに前に進んで行く。そんな姿を見せ続け、次のマイアミでは再び力強い走りを見せてもらいたい。

プロフィール

  • 米家峰起

    米家峰起 (よねや・みねおき)

    F1解説者。 1981年1月31日生まれ、兵庫県出身。F1雑誌の編集者からフリーランスとなり2009年にF1全戦取材を開始、F1取材歴14年。各種媒体に執筆、フジテレビNEXTやYouTube『F1LIFE channel』での解説を務める。

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