角田裕毅「すべてが負のスパイラル」だった中国GP 後方からの追突→リタイアは「非常に腹立たしい」 (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

【ポジションを上げていこうとした矢先に...】

 これはモードを変更することで対処できたが、「パワーの出方が均一じゃない」という問題も訴えていた。マシンのリアがあまりに不安定であるがゆえに、ドライバーのスロットル操作に対するトルクの出方がわずかでもドライバー本人のフィーリングと違っていると、その違和感が如実に表われてしまうからだ。

「ドライバーがスロットルペダルを踏んで、このくらいトルクがほしいという要求に対して、エンジンが要求どおりのトルクをデリバリーできていないと、うしろから押されたり引っ張られて『ドライバビリティが悪い』という不満がドライバーから出てきます。

 リアが安定しているマシンなら、多少エンジンのトルクの追従性が悪くても曲がっていけるので大丈夫なんですが、リアがナーバスなクルマだと、トルクデリバリーの精度が少しでもドライバーの要求どおりでないと、ネガティブな要素として不満が出てきやすいです」(ホンダ折原エンジニア)

 それでも、角田はスタートからソフトタイヤでアグレッシブに攻めて、ルイス・ハミルトン(メルセデスAMG)、ケビン・マグヌッセン(ハース)、周冠宇(ジョウ・グアンユー/ステーク)を抜いて16位まで浮上。8周目という早めのピットストップでアンダーカットを仕掛けてアレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ)とリカルドを抜き、12位まで浮上してみせた。

 22周目のバルテリ・ボッタス(ステーク)のリタイアによるセーフティカー導入で各車が2回目のピットストップをこなすなか、RBはタイヤが9周オールドのリカルドをステイアウトさせて9位までポジションを上げ、角田はここでタイヤ交換をして最後まで走りきる作戦と、2台で戦略を分けた。

 角田はリスタートでタイヤの古いマグヌッセンをターン1〜2で抜いて、ひとつでもポジションを上げていこうとした矢先、ターン6の出口でラインが外にはらんできたマグヌッセンに追突され、右リア破損でリタイアを余儀なくされてしまった。

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