角田裕毅「何かがおかしい...」今季初トラブル→リタイアにも冷静だったワケ 予選は見違える速さで「マシンに希望が見えた」 (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by BOOZY

【角田が素直に「申し訳ない。自分のせい」と反省】

 金曜は苦しい走り出しとなったが、土曜朝までのセットアップ変更でリアウイングにガーニーフラップを追加すると、マシンは見違えるように走るようになった。FP3でハードとミディアムの確認作業をしっかり行ない、予選ではQ3進出が狙える速さを見せた。

 Q2最後のアタックでやや攻めすぎた角田は、アスカリシケインの進入でわずかにラインが膨らみ、その後の脱出が苦しくなってタイムロスを喫した。その結果、10位のランド・ノリス(マクラーレン)に対してわずか0.013秒差でQ3進出を逃すこととなった。

 その瞬間、角田はコクピットのなかで大きく頭を振って自分自身に対する怒りを爆発させていたが、その声が無線に乗って届くことはなかった。すぐに気持ちを整理し、自分への怒りよりもチームへの賞賛と自責の念を素直に表明したのは、明らかな成長だった。

アルファタウリのマシンは明らかに戦闘力が向上したアルファタウリのマシンは明らかに戦闘力が向上したこの記事に関連する写真を見る「昨日から今日にかけてマシンは大きく改善されていましたし、クルマのバランスもよかったです。Q2でもアタックに送り出してくれたトラックポジションもよかったですし、チームは本当にすばらしい仕事をしてくれたと思います。だからこそ自分自身に対して腹が立っていますし、チームに対して申し訳なく思っています。これは自分のせいです」

 そんな予選のあとだっただけに、是が非でも決勝で結果がほしかった。

 だが、トラブルを悔やんでも仕方がない。それも、今季初のトラブルだ。

 結果こそ残らなかったものの、夏休み明けの2戦でアルファタウリのマシンは明らかに戦闘力が向上している。そして角田自身も、さらなる成長を見せている。これが今後のレースにつながることは間違いない。

「Q2でパーフェクトなラップが決められなくてQ3進出を逃したのは、自分自身に対するフラストレーションもありましたけど、僕のパフォーマンス自体は悪くない。いいパフォーマンスを見せることができているのではないかと思っています。

 マシンのパフォーマンスにも希望が見えました。シンガポールGPには大きなアップグレードが入るので、それを楽しみにしています」

 次のシンガポールGP、そして翌週には日本GPが待っている。そこで快走を見せるアルファタウリと角田裕毅の姿を楽しみに待ちたい。

プロフィール

  • 米家峰起

    米家峰起 (よねや・みねおき)

    F1解説者。 1981年1月31日生まれ、兵庫県出身。F1雑誌の編集者からフリーランスとなり2009年にF1全戦取材を開始、F1取材歴14年。各種媒体に執筆、フジテレビNEXTやYouTube『F1LIFE channel』での解説を務める。

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