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角田裕毅「伝統のモナコ」で天国から地獄...完璧な仕事をやってのけたのに、なぜ9位のポジションをあっさり明け渡したのか?

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by BOOZY

「ものすごくガッカリしています。言葉ではうまく言い表せないですね」

 モナコGP決勝を終えて、角田裕毅は言った。憮然とした表情にも、戸惑いの表情にも見える。

 レース途中まではマクラーレン勢を寄せつけず、雨が降ってきたところで絶妙のタイヤ交換を済ませて、後方の彼らには16秒差。9位でフィニッシュするのは、もう確実な展開だった。

「レース途中まではクルマのフィーリングはよかったですし、とてもいいペースで走れていてすべてがうまくいっていたので、間違いなくポイント獲得が可能でしたから、この結果というのは簡単には受け入れがたいです」

角田裕毅はモナコの予選で9番手のタイムを叩き出した角田裕毅はモナコの予選で9番手のタイムを叩き出したこの記事に関連する写真を見る 自分ではやれる限りのことをやり、マシンのすべてを引き出して得たポジション。ほぼ確実だったそのポジションが、為す術なく急に指の間からすり抜けていってしまったのだから、言葉で言い表せない感情というのもよくわかる。

 前週のイモラが中止となり、ヨーロッパラウンドの開幕となったこのモナコGPに、アルファタウリは完全新型フロアやサイドポッドなどのアップデートを投入してきた。

 それでもAT04のパフォーマンスは厳しく、金曜から土曜にかけてセットアップを大幅に変えて改善し、Q1から3セットのソフトタイヤを投入するアルファタウリお得意の"捨て身戦法"で、見事に2番手タイムでQ1突破を決めた。逆に言えば、アルファタウリ自身がそれだけ「Q1突破すら厳しい」と思っていたということだ。

 そのなかで3セットを投入してセッション終了間際にアタックすることで、路面の向上を味方につけて2番手タイムを記録。そしてQ2ではブレーキの温まりに問題が出たことに対し、ブレーキを温めるためのビルドラップを挟んでからアタックをするという対処で9番手タイムを記録してQ3進出を果たした。チームの予選戦略もばっちりとハマった、というわけだ。

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著者プロフィール

  • 米家峰起

    米家峰起 (よねや・みねおき)

    F1解説者。 1981年1月31日生まれ、兵庫県出身。F1雑誌の編集者からフリーランスとなり2009年にF1全戦取材を開始、F1取材歴14年。各種媒体に執筆、フジテレビNEXTやYouTube『F1LIFE channel』での解説を務める。

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