角田裕毅「伝統のモナコ」で天国から地獄...完璧な仕事をやってのけたのに、なぜ9位のポジションをあっさり明け渡したのか? (2ページ目)
【タイヤマネージメントも完璧】
そして、ドライバーの腕がモノを言うこの市街地サーキットで、角田は完璧なアタックを続け、マシンのすべてを出しきった。その結果が、今季2回目のQ3進出だった。
「驚きもありながら、モナコでQ3に進出できたのも初めてですし、予選全体をものすごく楽しむことができました。フリー走行ではかなり苦しんでいただけに、この結果はとてもうれしいですし、チームのみんなもとてもいい仕事をしてくれたと思います。
Q1で3セット投入したことで自分の自信とクルマへの自信とペースがうまく噛み合いました。そのおかげでQ2ではもう一段、ギアを上げてさらにプッシュすることができました」
そして決勝はセオリーどおり、ミディアムタイヤでスタートして真っ向勝負。狭く曲がりくねったモナコではコース上での追い抜きがほぼ不可能であるため、ピットストップだけがポジションアップのチャンスになる。逆に言えば、ライバルよりうまくタイヤを保たせることができれば、後方の相手に逆転のチャンスすら与えることはない。
スタートで9位を守った角田は、前のジョージ・ラッセル(メルセデスAMG)とほぼ同等のペースで走行。後方のマクラーレン勢にはつけ入る隙を与えず、ミディアムタイヤを長々と保たせた。
途中でリアタイヤ、そして続いて左フロントタイヤにグレイニング(表面のささくれ)が発生し、グリップが低下して苦しい戦いを強いられる場面もあった。だが、ホイールスピンや高速コーナーでのドライビングをアジャストすることで、10周ほどでこのグレイニングをクリーンアップしてペースを取り戻した。
毎晩のコースオープンで路面のラバーがリセットされるうえに、土曜の夜に雨が降った今年のモナコでは、グレイニングは誰にでも発生していた。その影響を最小限にとどめてタイヤを50周以上保たせて好ペースを維持したのは、すばらしいタイヤマネージメントだった。
というのも、50周目すぎに雨が降ってくることが予想され、そのタイミングでピットインをしてしまいたかったからだ。
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